抗がん剤が効かない卵巣がんに新薬「パゾパニブ」が有効
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進行した卵巣がんに対して、抗がん剤による化学療法がよく使われます。しかし、抗がん剤が効きにくい場合もあり、そのときは代わりになる治療が求められます。卵巣がんの標準的な治療薬とされる、「プラチナ製剤」という種類の抗がん剤が効きにくかった場合に、これまで腎細胞がんなどで使われていた「血管新生阻害薬」という新しい種類の抗がん剤を試した研究から、血管新生阻害薬の効果が認められたという結果が報告されました。
◆パクリタキセル単独とパゾパニブ併用を比較
研究班はイタリアの11の病院で、血管新生阻害薬であるパゾパニブの効果を確かめるため、次の試験を行いました。
プラチナ製剤抵抗性またはプラチナ製剤難治性の卵巣がんで、以前に最大2ラインまでの
化学療法 で治療された[...]患者を対象とした。対象者は週80mg/m2のパクリタキセルに加えて、1日800mgのパゾパニブを使うか使わないかで1:1に、治療施設・以前の化学療法ラインの数・プラチナ製剤中止後の期間によって層別したうえ、ランダム割り付けされた。
プラチナ製剤が効きにくかった卵巣がんの患者が試験の対象になりました。対象者はパクリタキセルだけで治療されるグループと、パクリタキセルとパゾパニブの併用で治療されるグループにランダムに振り分けられました。
◆併用群に効果あり
試験から次の結果が得られました。
2010年12月15日から2013年2月8日の間に、74人の患者を登録した。そのうち37人はパクリタキセル+パゾパニブの治療に、37人はパクリタキセルだけの治療に割り付けられた。
無増悪生存期間はパクリタキセル+パゾパニブ群でパクリタキセル単独群よりも
有意 に長かった(中央値6.35か月、95%信頼区間5.36-11.02 vs 中央値3.49か月、2.01-5.66、ハザード比0.42、95%信頼区間0.25-0.69、p=0.0002)。予期しない副作用または副作用による死亡はなかった。有害事象はパクリタキセル+パゾパニブ群でパクリタキセル単独群よりも多かった。
パクリタキセルだけのグループで、
研究班は「この結果は、プラチナ製剤抵抗性またはプラチナ製剤難治性の卵巣がんに対して、毎週のパクリタキセルに加えてパゾパニブの併用の第3相試験を行う正当な理由となりうる」と結論しています。
さらに進んだ試験でより多数の対象者に対して治療効果が確かめられれば、パゾパニブの併用が標準的な治療に加わるかもしれません。がん治療の改善を目指してこうした試みが重ねられています。
執筆者
Pazopanib plus weekly paclitaxel versus weekly paclitaxel alone for platinum-resistant or platinum-refractory advanced ovarian cancer (MITO 11): a randomised, open-label, phase 2 trial.
Lancet Oncol. 2015 May
[PMID: 25882986]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。