2015.05.31 | ニュース

坐骨神経痛にステロイドは効くのか?

アメリカで269人のランダム化試験

from JAMA

坐骨神経痛にステロイドは効くのか?の写真

坐骨神経痛は腰から足に向けて伸びる「坐骨神経」という神経が圧迫されるなどの原因で起こる、痛みやしびれなどの症状です。症状を抑える治療としてステロイド薬が使われることがあり、アメリカの研究班がステロイド薬の効果を検証しました。その結果、15日間の服薬により、痛みには効果が見られなかった一方で、生活を改善する効果があったという結果が出ました。

◆269人をランダム化

研究班は坐骨神経痛の患者のうち、症状の程度を表すODIスコア(0から100の間で重症ほど数字が大きい)が30以上の成人だけを対象にしました。ODIスコアは痛みによって生活が妨げられている程度などを質問票で評価したものです。

269人の対象者はランダムに、15日間ステロイド薬を飲むグループと、偽薬を飲むグループに振り分けられました。

 

◆ODIスコアの改善が1年後まで

ステロイド薬の効果について以下の結果が得られました。

開始時のODIスコアはプレドニゾン群で51.2、偽薬群で51.1であり、3週後のODIスコアはプレドニゾン群で32.2、偽薬群で37.5だった。プレドニゾン群では偽薬群に比べて、関連する因子の調整後で平均6.4(95%信頼区間1.9-10.9、P =0 .006)の改善があり、52週後では平均7.4(95%信頼区間2.2-12.5、P = 0.005)の改善があった。

3週間のフォロー中に1回以上の有害事象が起こることは偽薬群よりもプレドニゾン群に多かった(49.2% vs 23.9%、P <0 .001)。

ステロイド薬を飲むグループでは、偽薬のグループと比べて治療開始3週後でODIスコアが6.4改善し、1年後にはODIスコアが7.4改善していました

治療開始から3週間のうちに、副作用を含めて症状の悪化などが少しでも起こった人は偽薬のグループで23.9%、ステロイド薬のグループで49.2%と、ステロイド薬のグループのほうが多くなっていました。

痛みにはどちらのグループでも違いがありませんでした

 

ステロイド薬によって、痛みそのものには違いがなくても、痛みによる問題をいくらか改善できたという、興味深い結果が示されました。整形科の医師の方や患者の方から見ると、痛みが変わらなくとも生活の質が改善するかもしれないこの治療を、どのように感じられるでしょうか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Oral steroids for acute radiculopathy due to a herniated lumbar disk: a randomized clinical trial.

JAMA. 2015 May 19

 

[PMID: 25988461]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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