2015.05.26 | ニュース

タモキシフェンは乳がん予防に16年間効果あり

乳がんの高リスク女性に5年間投与
from The Lancet. Oncology
タモキシフェンは乳がん予防に16年間効果ありの写真

乳がんの治療に使われるタモキシフェンという抗がん剤を、がん予防に使えないかという研究がなされています。これまでの研究で、乳がんを将来発症するリスクが高いと見られた女性にタモキシフェンを使うと、使用開始後10年の間の乳がん発症を減らせることがすでに報告されていました。さらに長期にわたって追跡した研究から、約16年間にわたって同程度の予防効果が続いたという結果が報告されました。

◆タモキシフェン5年間をランダム化

この研究では、将来乳がん発症するリスクが高いと見られた女性が対象となりました。参加者は次のように、乳がん予防としてのタモキシフェンを5年間毎日飲むか、偽薬を5年間毎日飲むかをランダムに割り当てられました。

ランダム化対照研究であるIBIS-Iの中では、閉経前と閉経後を含む35歳から70歳の女性で、乳がんが発症するリスクが高いと見られた人が対象者となり、5年間にわたって経口タモキシフェン20mg/日の投与を受けるか、偽薬投与を受けるかをランダムに割り付けられた。

5年間の投薬期間が過ぎたあとも、参加者に乳がんが発症するかどうかが長期間追跡されました。

◆10年経過以後の乳がん発生率0.69倍

投薬開始から中央値16年間追跡した結果、以下の違いが見られました。

中央値16.0年のフォロー期間に601人の発がんがあった(偽薬群3,575人中350人[9.8%]、タモキシフェン群3,579人中251人[7.0%]、ハザード比0.71[95%信頼区間0.60-0.83]、p<0.0001)。乳がんを発症するリスクは治療開始後10年まで(偽薬群で3,575人中226人[6.3%]に対してタモキシフェン群で3,579人中163人[4.6%]、ハザード比0.72[95%信頼区間0.59-0.88]、p=0.001)と10年経過後(偽薬群3,295人中124人[3.8%]に対してタモキシフェン群3,343人中88人[2.6%]、ハザード比0.69[0.53-0.91]、p=0.009)で有意差がなかった。

タモキシフェンを割り当てられたグループでは、偽薬のグループに比べて最初の10年間で乳がんを発症する確率が0.72倍、10年が過ぎたあとの期間では0.69倍で、最初の10年間と以後の期間の予防効果は統計的に違いがあるとは言えませんでした。

タモキシフェンによる乳がん予防について長期間の情報が加わりました。ただし、この研究の対象者の死亡率について、すべての死因を合計した死亡率はタモキシフェンのグループと偽薬のグループで差があるとはいえなかったことが別に報告されています。乳がんが減ることの意義は、さらに議論される余地がありそうです。

 

乳がんの長期的な経過については議論があり、MEDLEYニュースでもそのひとつを紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

マンモグラフィーに意味はあったのか」

http://medley.life/news/item/5543561b05c72afe00009147

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Tamoxifen for prevention of breast cancer: extended long-term follow-up of the IBIS-I breast cancer prevention trial.

Lancet Oncol. 2015 Jan

[PMID: 25497694]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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