◆従来治療のうちTDFをTAFに置き換える試験
研究チームは、TAFの効果と副作用を検証するために、通常TDFと同時に使われる薬との組み合わせのうちTDFだけをTAFに置き換えて、従来の治療と差が出るかどうかを調べました。
これら2件の、対照を取った、二重盲検法によるフェイズ3試験において、我々は16か国の178の外来医療機関から、HIVに感染した、治療を受けたことのない、推定クレアチニンクリアランス50mL/min以上の患者を採用した。
参加者は1日1回、[...]テノホビルアラフェナミドを含む経口錠 (E/C/F/TAF)または、[...]テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む経口錠 (E/C/F/TDF) を、マッチングした偽薬とともに飲むようランダムに1:1に割り付けられた。
試験薬のどちらかを飲んだ参加者は、全員を効用と安全性に対する一次intention-to-treat分析の対象とした。
このように、参加者はランダムにE/C/F/TAFの治療を受けるグループとE/C/F/TDFの治療を受けるグループに振り分けられ、血中からHIVがいなくなる効果が出るかどうか、また副作用が現れるかどうかを調べられました。
【2016/8/17追記:
ここで使われているE/C/F/TAFの錠剤というのが、2016年7月から日本でも販売開始されたゲンボイヤ®配合錠(商品名)です。】
◆十分な効果あり、副作用は減少
治療の効果は次のようなものでした。
我々は2013年Ⅰ月22日から2013年11月4日までの間に参加者(2,175人がスクリーニングで発見され、1,744人がランダム割り付けを受けた)を採用し、1,733人に治療を(866人にはE/C/F/TAFを、867人にはE/C/F/TDFを)行った。
866人のE/C/F/TAFグループのうち800人(92%)、867人のE/C/F/TDFグループのうち784人(90%)で血漿中HIV-1 RNAが50 copy/mL未満になり(調整した差2.0%、95%信頼区間-0.7-4.7)、E/C/F/TDFに対してE/C/F/TAFの非劣性が示された。
このように、E/C/F/TAFの治療効果はE/C/F/TDFに劣っていませんでした。
また、副作用についての比較では、TDFの副作用として知られていた腎機能低下(クレアチニン上昇)、蛋白尿、脊椎(背骨)と大腿骨の骨密度低下が、いずれもE/C/F/TAFのグループでE/C/F/TDFのグループよりも軽くまたは少なくなっていました。
E/C/F/TAFは日本でも承認申請準備中です。この研究では確かめられていない長期的な影響も含めて、HIV感染症に対してより良い薬が出てくるのかどうか、この先に期待がかかります。
【2016/8/17追記:
ゲンボイヤ®配合錠は日本で2016年6月17日に承認され、7月に販売開始となっています。】
執筆者
Tenofovir alafenamide versus tenofovir disoproxil fumarate, coformulated with elvitegravir, cobicistat, and emtricitabine, for initial treatment of HIV-1 infection: two randomised, double-blind, phase 3, non-inferiority trials.
Lancet. 2015 Apr 15
[PMID: 25890673]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。