抗HIV薬を「オンデマンド」で

HIV感染によるエイズは、抗レトロウイルス薬(ARV)の多剤併用療法により「不治の病」ではなくなりましたが、未だにワクチンがありません。ARVを性交渉の前後に服用することでHIV-1感染リスクを減らせるかどうか、フランスの研究チームが検証しました。
◆414人の肛門性交を行う男性が対象
研究チームは、肛門性交を行う男性414人をランダムに2群に分け、性交渉前後に一方はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)とエムトリシタビン(FTC)の合剤(TDF-FTC)を服用してもらい、もう一方はプラセボを服用してもらい
◆HIV感染予防の効果を確認
TDF-FTCを使った群でHIV-1 感染リスクが86%低下したことが確認できました。対象者に何かしら深刻な
米国食品医薬品局(FDA)はTDF-FTCを予防目的で使うことをすでに承認していますが、本当にどの程度効果があるのか、またこの論文のように「オンデマンド」使用でも効果があるのか、についてははっきりしていませんでした。
この研究は感染リスクが90%近く低下する、としており、画期的な結果です。
日本でHIV感染の患者さんは毎年1,000人以上が新たに見つかり、先進国では例外的に数が増え続けています。「薬を必ず服用する」、「必ずコンドームを使う」という予防法が確実に実行されるようになれば、これ以上の拡大を食い止められる可能性があります。
執筆者
On-Demand Preexposure Prophylaxis in Men at High Risk for HIV-1 Infection
N Engl J Med. 2015 Dec 3
[PMID: 26624850] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26624850
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