子どもの高血圧にはテレビやパソコンが関連!?

子どもが座ったまま、例えばテレビゲームやパソコンをすることで、肥満になるリスクが高くなることが知られています。昔に比べて、外で遊ぶ子どもが少なくなった、という話も時折耳にします。 今回の研究では、子どもの生活習慣が高血圧症と関連するか検証した結果、「1日2時間以上座ったままでいる子どもは、高血圧症になるリスクが1.28倍高い」ということが報告されました。
◆子どものテレビ視聴時間などを調査
今回の研究では、2年間に渡り、以下の方法で調査を行い、テレビやコンピュータなどの前に座っている時間と、高血圧症の関連性を検証しました。
欧州8ヵ国の全人口を対象とした調査から複合サンプリングによってランダムに、2歳から9歳の子ども16,228人を選んで対象とした。
前高血圧症状態と高血圧症の
発症 率を推計し、身体活動量とテレビやコンピューターの前に座っている時間がそれらの発症率に及ぼす効果を、コンピューターを用いて相対リスクと95%信頼区間を計算することで評価した。調査には、加速度計を用いて身体活動量を評価した。
近年の身体活動量を測定する方法として、加速度計を用いた手法があります。加速度計を用いると、上下運動を測定することができ、身体の活動を把握できるというものです。
◆長く座っていると、高血圧症になるリスクが1.28倍!?
調査の結果、以下のことがわかりました。
前高血圧症の発症率は毎年対象者1,000人あたり121人、高血圧症の発症率は毎年対象者1000人あたり110人であった。
2年間の追跡期間の間、1日2時間以上テレビやコンピュータなどの前に座る習慣を続けていた子どもは、高血圧症となる相対リスクが1.28(95%信頼区間1.03-1.60)であった。
筆者らは、「座っている時間が長い子どもは、2年間で高血圧症になるリスクが高くなる」と結論付けています。
昔と違い、子どもがコンピューターに接する機会も多くなってきていると思います。テレビゲームやコンピューターの前に座っている時間が長いことで、肥満や高血圧症を起こす可能性が高くなるのだとすれば、そのまま生活習慣病予備軍となってしまうことも考えられます。運動が予防になるかどうかはこの研究から断定できませんが、子どもには元気に育ってほしいものですね。
執筆者
Incidence of high blood pressure in children - effects of physical activity and sedentary behaviors: the IDEFICS study: High blood pressure, lifestyle and children.
Int J Cardiol. 2015 Feb 1
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。