COPD患者が歩数計を手にしたら、運動量がはっとするほど増加
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の治療として、呼吸機能を高めるために運動療法が行われます。しかし勧めどおりに運動を続けるには、患者自身のモチベーションを維持しなければなりません。そこでチリなどの研究班は、歩数計の効果に注目し、「歩数計を使った運動プログラムでCOPD患者の運動量が増え、生活の質がよくなる傾向があった」と報告しました。
◆歩数計ありかなしかをランダムに割り当て
研究班は、チリの首都サンティアゴで、平均68.7歳のCOPD患者102人を対象として、参加者をランダムに、通常の運動プログラムと、歩数計を使ったプログラムに振り分けました。
どちらのプログラムでも、3か月間にわたるカウンセリングで日常生活での運動を勧め、試験開始時と3か月後に、以下の検査値について3か月間の変化を比較しました。
- 1週間平均の1日あたり歩数
- 運動能力を表す6分間歩行距離
- 呼吸困難の症状を表す「mMRCスケール」
- 生活の質の自己評価を表す「SGRQ」
- COPDの重症度を表す「CATスコア」
◆歩数計を使ったほうが効果が高い
102人の参加者のうち、97人が3か月間のプログラムを終えました。各評価値の3か月間の変化は以下のとおりでした。
(すべて歩数計を使うプログラムvs通常プログラム)
- 1日あたり歩数:+3,080歩 vs +138.3歩
- 6分間歩行距離:+12.4m vs -0.7m
- SGRQ:-8.8 vs -3.8
- CATスコア:-3.5 vs -0.6
このように、いずれも歩数計を使うプログラムのほうがより大きく改善していました。mMRCスケールにはプログラムの間で差がありませんでした。
治療として役に立つかどうかは今後の解釈とさらに進んだ研究にかかっているとはいえ、運動療法中の方はもちろん、運動する必要を感じている方にははっとする結果なのではないでしょうか。スマートフォンにも歩数計機能がつくようになりましたが、読者のみなさんは自分が普段、1日で何歩歩いているか知っていますか?
執筆者
Pedometers to enhance physical activity in COPD: a randomised controlled trial.
Eur Respir J. 2015 Feb
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。