◆7件のランダム化研究を検討
研究班は、論文データベースから検索した関連する論文のうち、スタチン治療をするかしないかをランダムに割り当て、敗血症(感染症が重症化して全身に炎症が及んだ状態)による入院後28日での死亡の割合が変わったかどうかを報告した論文7件を集め、研究対象者とされた1,720人の情報をまとめて統計解析しました。
◆死亡割合に変化なし
スタチン治療によって、敗血症患者の入院後28日の死亡割合には統計的に有意な差がありませんでした。入院から退院までの死亡についても差がありませんでした。この研究に含まれた論文に、信頼度が低いと考えられるものはありませんでした。
この研究では「入院中の死亡」を基準に否定的な結果が出されましたが、条件を変えたときにも同じかどうかはこの結果だけではわかりません。いつの日か日本の臨床現場で敗血症に対してスタチンを使用する未来は訪れるのでしょうか?
執筆者
Statin Therapy and Mortality from Sepsis: A Meta-analysis of Randomized Trials.
Am J Med. 2015 Apr
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。