2015.05.03 | ニュース

がんの「過剰検出」、どこまで許せますか?

イギリスでオンライン調査
from BMJ (Clinical research ed.)
がんの「過剰検出」、どこまで許せますか?の写真
(C) jedi-master - Fotolia.com

すべてのがんが死因になるとは限りません。がんの症状がないままほかの原因で死亡した人から、解剖で始めてがんが見つかることがありますが、このようながんは「治療しなくてよかったし、見つけなくてよかった」と言えます。治療には副作用もあることを考えれば、「検査でがんを見つけ、治療する」ことが有害な場合があるかもしれません。イギリスで、こうした「過剰検出」が許せるかどうか聞き取り調査が行われました。

◆オンラインで説明と質問

近年、統計的に「スクリーニングがんを見つけても、スクリーニングをしない場合と死亡率は変わっていない」という例が指摘され、「スクリーニングには過剰検出が含まれているのではないか」という問題が議論されています。

過剰検出とは、「見つからなかったとしても症状を起こしたり余命を縮める恐れのないがんが見つかること」を指します。がん検診(スクリーニング)は、がんを早期発見する狙いで行われますが、症状がなく死因にもならない「無害ながん」を見つけるのは検査の「過剰」ということになります。

この研究では、インターネットを使って、イギリス在住の希望者1000人を対象に、女性には乳がん大腸がんについて、男性には前立腺がん大腸がんについて、次の手順で説明したうえ、どの程度の過剰検出が許されるかを質問しました。

まず、それぞれのがんについて、年間にイギリスで何人が発症しているかと、治療方法、治療の効果と副作用を説明しました。

次に、スクリーニングを評価するために、仮定の数字を2種類のシナリオとして提示しました。どちらも「スクリーニングを受ける1000人のうち5%の人にがんがあり、1%ががんが原因で死亡する」と仮定したうえで、ひとつは「スクリーニングをするとがんが原因の死亡を10%減らすことができる」という仮定、もうひとつは「スクリーニングをするとがんが原因の死亡を50%減らすことができる」という仮定です。

2種類のシナリオに対して、「スクリーニングにこのような効果があるとしたら、スクリーニングを受ける1000人のうち何人まで過剰検出され、過剰な治療を受けることが許されるか」を質問しました。

 

◆1000人を検査して113人から313人の過剰検出が「許容範囲」

許容できる過剰検出数は条件によって大きく異なり、回答の中央値は「1000人あたり113人」から「1000人あたり313人」までありました。すべてのシナリオについて、「過剰検出は1件も許さない」と答えた人が4%から7%いるのと同時に、「スクリーニング対象の全員が過剰検出だったとしても許容できる」と答えた人が7%から14%いました。

また、大腸がんの過剰検出よりも、乳がん前立腺がんの過剰検出のほうが許容されやすい傾向がありました。50歳以上の人は過剰検出を許容しにくく、大学の学位かそれ以上の学歴を持っている人は過剰検出を許容しやすい傾向がありました。過剰検出について調査より前に聞いたことがある人は29%でした。

研究班は「スクリーニング検査を勧めるときは過剰検出がある可能性とその帰結について情報を明確に提供するべきだ」と結論しています。

 

これはイギリスの研究ですが、日本ではどんな意見が多いのでしょうか。あなたの周りの人たちはどうですか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

People's willingness to accept overdetection in cancer screening: population survey.

BMJ. 2015 Mar 3

[PMID: 25736617]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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