脳卒中を発症した人は、自殺率が約2倍に
脳卒中はそれ自体が死因にもなりやすい、非常に重い病気ですが、脳卒中が起こった後では人生が大きく変わってしまうこともあります。スウェーデンの研究で、脳卒中の発症後は自殺・自殺未遂が2倍近くに増えるという衝撃的な結果とともに、自殺を試みる割合が大きい人の特徴が示されました。
◆スウェーデンの脳卒中登録データベースから分析
この研究では、2001年から2012年にかけてスウェーデンで登録された脳卒中患者のデータベースを使い、脳卒中の
◆自殺を図った人の傾向が明らかに
220,336人の脳卒中患者のうち、登録された期間に1,217人が自殺を図り、その結果260人が死亡に至りました。この人数は、スウェーデンにおける自殺率の2倍近くに相当します。
また、自殺を図った患者の特徴として、以下の傾向が見られました。
- 初等・中等教育卒業までの人>大学を卒業した人
- 収入が上位3分の1から3分の2の人>上位3分の1以上の人
- 独居者>独居でない人
- ヨーロッパで産まれた人>ヨーロッパ以外の国で産まれた人
ほかに脳卒中後に自殺を試みることと関連があった要因は、
というものでした。自殺を試みることは脳卒中直後の2年間に最も多く見られました。
この研究はもともとの背景に注目したもので直接の原因や予防法を調べたものではなく、またスウェーデンの統計ということで日本では違う傾向がある可能性もあります。しかしながら、多くの人に起こり、重篤な後遺症を起こすことも多い脳卒中を知るうえで、発症後の自殺との関連という観点も重要なのかもしれません。
執筆者
Poststroke suicide attempts and completed suicides: A socioeconomic and nationwide perspective.
Neurology. 2015 Apr 1
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。