リファキシミン(高アンモニア血症治療薬)の解説
リファキシミン(高アンモニア血症治療薬)の効果と作用機序
リファキシミン(高アンモニア血症治療薬)の薬理作用
肝性脳症は肝硬変や劇症肝炎などの肝障害に起因して意識障害などの精神神経系症状があらわれる合併症のひとつ。肝性脳症が引き起こされる仕組みには様々な要因が考えられるが、食事などから摂取したタンパク質が腸内細菌によって分解されて生じるアンモニアが神経に対して悪影響を与えることが主な要因のひとつとなる。
通常(肝機能が正常な状態)であれば、アンモニアは主に肝臓で代謝されるが、肝硬変などで肝機能が低下している状態ではこの代謝が不十分となり、血液中のアンモニア濃度が過度に上昇し(高アンモニア血症の状態になり)、脳にダメージを与えることで様々な精神神経系症状が引き起こされる。
通常、内服薬(飲み薬)の多くは服用(投与)後、消化管(主に小腸)で吸収され、門脈から肝臓を経由し全身循環(全身の血流)に移行しその効果(薬効)をあらわすが、内服薬の一部には小腸などの腸管からの吸収がされにくい難吸収性の性質を持っているものがある。本剤(リファキシミン)もこのような性質があり、腸管から吸収されない分の薬剤成分はある程度、腸管内に留まることになる。
本剤はリファマイシン系という種類に分類される抗菌薬で、細菌のDNA依存性のRNAポリメラーゼに結合し、RNA合成を阻害することで抗菌作用をあらわす。本剤の難吸収性の性質により、薬剤成分が腸管内に留まり、アンモニアなどを作り出している腸内細菌に対して作用し(抗菌作用をあらわし)、血液中のアンモニアを低下させることで肝性脳症における高アンモニア血症の改善効果をあらわす。
なお、本剤以前にもカナマイシンやポリミキシンBなどの難吸収性抗菌薬が肝性脳症(及び高アンモニア血症)の治療に使われてきたが、本剤は「肝性脳症における高アンモニア血症の改善」を効能・効果として承認された日本で初の薬剤となる。
リファキシミン(高アンモニア血症治療薬)の主な副作用や注意点
- 消化器症状
- 便秘、下痢、吐き気などの症状があらわれ、頻度は稀とされるが大腸炎などの重篤な症状が引き起こされる可能性もある
- 頻繁に下痢がおきる、お腹が張る、腹痛、発熱、吐き気などがみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
- 精神神経系症状
- めまい、味覚異常などがあらわれる場合がある
- 過敏症
- 頻度は稀だが、
発疹 などの症状があらわれる場合がある
- 頻度は稀だが、
リファキシミン(高アンモニア血症治療薬)の一般的な商品とその特徴
リフキシマ
- 通常、1日3回、食後に服用する