テトラサイクリン系抗菌薬
細菌の生命維持や増殖に必要なタンパク質合成を阻害し、細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
テトラサイクリン系抗菌薬の解説
テトラサイクリン系抗菌薬の効果と作用機序
細菌 のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬- 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
- タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
- 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
内服薬 は薬剤の作用持続時間により(短い順に)短時間作用型、中等度作用型、長時間作用型に分けられる- 他の種類の
抗菌薬 と比較した時の特徴- ブルセラ症、ライム病などでは優先的に使用される薬剤
- ヘリコバクター・ピロリ感染での除菌治療で使用される場合もある(他の抗菌薬に
耐性 がある場合など) - 熱帯熱マラリア予防などに使用する場合もある
テトラサイクリン系抗菌薬の薬理作用
細菌の生命維持や増殖にはタンパク質の合成が必要であり、それはリボソームという器官で行われる。細菌のリボソームは30Sと50Sというサブユニットに分けられる。
本剤は細菌の30Sサブユニットに作用しタンパク質合成を阻害し、細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす。本剤(内服薬)は一般的に薬剤の作用時間によって作用時間の短い順に、短時間作用型、中等度作用型、長時間作用型に分けられる。
また本剤は、クラミジア、レジオネラなどの細胞内寄生菌やマラリアなどにも効果をあらわし、ブルセラ症やライム病などでは優先的に使用される薬剤とされる。
テトラサイクリン系抗菌薬の主な副作用や注意点
- 消化器
症状 - 吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢などがあらわれる場合がある
- 本剤の
内服薬 、注射剤による「歯牙の着色」「エナメル質形成不全」「一過性の骨発育不全」に関して- 上記事項がおこる可能性があり、8歳未満の小児へは原則として使用を避ける(但し、治療上必要である場合を除く)
- 本剤は胎盤を通過し胎児に影響を与える可能性があるため、妊娠中の婦人への使用も原則として避ける(但し、治療上必要である場合を除く)
- 本剤の
内服薬 とAl、Mgなどのミネラル 含有製剤・食品などの併用に関する注意- 本剤の吸入が阻害され抗菌作用が減弱する可能性がある
- 本剤とミネラル含有製剤・食品などとは摂取の間隔をあける(一般的には2時間以上あけた方がよいとされる)
テトラサイクリン系抗菌薬の一般的な商品とその特徴
ビブラマイシン
内服薬 は長時間作用型に分類される- ニキビ治療など皮膚科で処方されることもある
ミノマイシン
内服薬 は長時間作用型に分類される- 作用持続時間はビブラマイシンよりは短いとされる
- 顆粒剤があり、嚥下能力の低下した患者などへのメリットが考えられる
アクロマイシンV
内服薬 は短時間作用型に分類される
レダマイシン
内服薬 は中等度作用型に分類される