らいむびょう
ライム病
主にマダニによって伝染する感染症。全身にさまざまな症状が出る
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最終更新: 2023.01.22
ライム病の基礎知識
POINT ライム病とは
ライム病はマダニが媒介するヒト・動物共通の感染症です。症状は3段階に分かれます。最初の時期には体の一部に赤い皮疹と発熱・筋肉痛・関節痛・頭痛が出現します。次に症状が全身に広がっていきます。最後に感染から数カ月から数年経つと、皮膚が萎縮する、関節が慢性的な炎症を起こす、などの症状が出ます。診断は症状の経過と血液検査や細菌検査から総合的に行われます。治療は抗菌薬(テトラサイクリン系抗菌薬やセフェム系抗菌薬など)を用いて行われます。また、マダニのいる野山を歩く時には、ライム病にならないように長袖・長ズボンを着用することが大切です。ライム病が心配な人や治療したい人は、感染症内科や皮膚科を受診して下さい。
ライム病について
- マダニにより伝染される
スピロヘータ という細菌 の感染症 - スピロヘータは血液に乗って全身に広がり、様々な症状を起こす
- 日本での感染例は、年間5-10人程度
- 感染初期(
ステージ 1)、播種期(ステージ2)、慢性期(ステージ3)の病期 にわけられる - 日本では、慢性期に移行したとみられる患者は報告されていない
ライム病の症状
ライム病の検査・診断
- 血液検査、
髄液検査 - ライム病の病原体の有無を血清や
髄液 を用いて調べる
- ライム病の病原体の有無を血清や
組織診 :変化のある皮膚の一部を切り取り、病原体を調べる- 上記の検査と症状から総合的に診断される
ライム病の治療法
抗菌薬 による治療が有効である- テトラサイクリン系抗菌薬
- ペニシリン系抗菌薬
- セフェム系抗菌薬
- 野山を歩く際にはマダニに咬まれないように予防することが重要
- 長袖、長ズボンを着用する
- ズボンの裾を靴下の中に入れる
- むやみにヤブに入らないようにする
- マダニに咬まれたのがすぐに分かるように白色の服を着る
ライム病に関連する治療薬
テトラサイクリン系抗菌薬
- 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
- 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
- タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
- 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
- 内服薬は薬剤の作用持続時間により(短い順に)短時間作用型、中等度作用型、長時間作用型に分けられる
- 他の種類の抗菌薬と比較した時の特徴
- ブルセラ症、ライム病などでは優先的に使用される薬剤
- ヘリコバクター・ピロリ感染での除菌治療で使用される場合もある(他の抗菌薬に耐性がある場合など)
- 熱帯熱マラリア予防などに使用する場合もある