しぼうそくせんしょうこうぐん
脂肪塞栓症候群
骨髄の中にある脂肪が骨折などの影響で血液中に入りこみ、脳や肺など全身の細い血管に詰まること
8人の医師がチェック 89回の改訂 最終更新: 2022.03.16

脂肪塞栓症候群の基礎知識

POINT 脂肪塞栓症候群とは

骨髄の中にある脂肪が骨折などの影響で血液中に入りこみ、脳や肺の血管に詰まることです。コレステロール塞栓症と呼ばれることもあります。骨折以外の原因としては心臓・血管のカテーテル検査(または治療)や整形外科の手術などがあります。息苦しさや呼吸困難、胸痛、咳などの症状が現れます。疑われた人には心電図やレントゲン検査が行われます。脂肪塞栓症候群の確立した治療はありませんが、症状を和らげるために十分な酸素の吸入と全身管理が行われます。脂肪塞栓症の診療は呼吸器内科や脳神経外科、神経内科などで行われます。

脂肪塞栓症候群について

  • 骨髄の中にある脂肪が骨折などが原因で血液中に入り、脳や肺など全身の細い血管に詰まることで障害が起こること
  • 主な原因
    • 骨折
    • 整形外科の手術
    • 心臓や血管のカテーテル検査
  • 肺動脈につまり肺塞栓を起こすことが多い
    • 稀に脳の血管につまり脳梗塞や皮膚などに症状を起こすことがある

脂肪塞栓症候群の症状

  • 塞栓を起こした部位により異なる
  • 肺の血管に脂肪が飛んだ場合、肺塞栓症の症状が起こる
    • 息苦しさ、呼吸困難
    • 胸痛
    • 重症例においては失神や心肺停止など
  • その他に中枢神経症状や皮膚症状などが起こる
    • 不穏、認知障害、意識障害
    • 点状出血(皮膚や白目にぽつぽつとした小さな出血が起こる)
    • 足の爪が青色に変色する(足の血管に脂肪が詰まる)

脂肪塞栓症候群の検査・診断

  • 多くは病歴から診断をして治療を開始する
  • 胸痛や息苦しさがある場合以下のような検査を行う
    • 心電図検査
    • 胸部レントゲン検査

脂肪塞栓症候群の治療法

  • 確立した治療法はない
  • 基本的には対症療法で全身状態を保ち、脂肪の吸収が進むのを待つ
    • 十分な量の酸素と補液を行う
    • 状態によっては酸素吸入など緊急の全身管理が必要
    • ステロイドが効果的であるという治療報告がある

脂肪塞栓症候群のタグ

脂肪塞栓症候群に関わるからだの部位