ちはつせいないりんぱすいしゅ
遅発性内リンパ水腫
最初に難聴が見られて、数年〜数十年経ってからめまいを繰り返すようになる病気。内耳と呼ばれる耳の奥の臓器に影響が出ることが原因と考えられている
1人の医師がチェック 0回の改訂 最終更新: 2020.08.21

遅発性内リンパ水腫の基礎知識

POINT 遅発性内リンパ水腫とは

遅発性内リンパ水腫は難聴とめまいを起こす病気です。難聴の症状が出て、数年〜数十年後にめまいが繰り返され、悪化するようになることが多いです。 軽症の人では安静にしているうちに症状が改善する一方で、めまい症状を繰り返していくと徐々に悪化して日常生活を脅かすことも少なくありません。そのため、早期から専門家に相談することが望ましいです。症状に思い当たる節がある人は、耳鼻科や神経内科を受診して相談してください。

遅発性内リンパ水腫について

  • 難聴やめまいが主な症状である
    • 先に難聴が見られるようになり、その後めまいを繰り返すようになる
    • 難聴は片耳の人も両耳の人もいるが、その程度は重いことが多い
    • 最初の症状からめまいを繰り返すようになるまでには、数年から数十年のほどの時差がある
    • 症状は内耳に関連する病気に共通するものが多く、特にメニエール病と見分けるのが難しいことも少なくないため、症状の強さや発症の時期を参考に慎重に判断する必要がある
  • 病気の原因は明らかになっていない
    • 難聴の原因となる病気の影響を受けて、段々と時間を経て内耳(耳の多くの臓器)に水がたまること(内耳水腫)が原因と考えられている
    • きっかけとなる最初の難聴の原因は次のものが多い
      • 若年性片側聾
      • 側頭骨骨折
      • ウイルス性内耳炎
      • 細菌性内耳炎
      • 突発性難聴
      • アブミ骨切除術 など
  • この病気の患者は国内でおよそ4,000-5,000人いると考えられている
  • 難病指定されている

遅発性内リンパ水腫の症状

  • 時間軸から3つの段階に分けることができる
    • 初発
    • 再発期(遅発期)
    • 後遺症期
  • 初発期における症状の特徴
    • 難聴が特に目立つ症状である
    • 難聴は片側の耳に起こることが多く、その程度は強く完全に聴覚を失うこともある
    • 耳鳴り、耳閉感、めまい、悪心(吐き気)、嘔吐を伴うこともある
  • 再発期における症状の特徴
    • 最初の症状が出てから、数年〜数十年ほど遅れて再びめまいが出現する
    • めまいの他には、難聴の悪化、耳鳴り、悪心(吐き気)、嘔吐などが起こる
    • 遅れてきた(遅発性の)症状は、軽症のうちは休息によって改善すること多いが、繰り返すうちに重症化していく
    • 重症化すると日常生活を脅かすことも多い
    • 初発の症状が起こった耳とは反対側の耳に症状が出てくることもある
  • 後遺症期における症状の特徴
    • 重度になっためまいによって生活の質(QOL)が下がる
    • 症状が進行する状況から抑うつ状態になる
    • 転倒を繰り返すことで運動機能が低下する
    • 寝たきりに至ることで認知機能が低下する

遅発性内リンパ水腫の検査・診断

  • 問診
    • 主に次のことが確認される
      • 初発からの時間経過
      • 自覚症状の種類
      • 自覚症状の程度
      • 持病の有無
      • 常用薬の有無
  • 身体診察
    • 眼振の有無と程度の確認
    • 難聴の程度の程度の確認
    • めまいの程度の確認
    • 第8脳神経以外の脳神経に問題がないかの確認
  • 検査
    • 純音聴力検査
    • 足踏み検査
    • 温度刺激検査(カロリックテスト)
    • 注視眼振検査
    • 頭位眼振検査
    • 電気眼振図検査(ENG検査)
    • 圧刺激検査
    • フロセミドテスト
    • 頭部MRI検査

遅発性内リンパ水腫の治療法

  • 治療によって根治することは難しい
    • まずは発作の予防と、誘引となる生活の問題点を改めることに治療の焦点をあてる
      • 要因となりうる生活習慣の改善
      • ストレスの緩和
      • 利尿薬の使用
      • 漢方薬の使用
    • 上記の治療や管理を行っても次のような治療が検討される
      • 内リンパ嚢開放術
      • 中耳加圧療法
      • ゲンタマイシン鼓室内注入術
    • 重ねてリハビリテーションも重要である
      • 平衡機能を取り戻したり症状の進行を緩やかにしたりする
      • 他の機能を用いて平衡機能を代償する(他の機能がバランス感覚をサポートする)

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