せっぱくそうざん
切迫早産
早産になる危険性が高い状態のこと
6人の医師がチェック 111回の改訂 最終更新: 2022.01.28

切迫早産とは?症状、原因、検査、治療を解説

妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産を早産といいます。全妊娠の約5%程度が早産になると言われています。切迫早産とは早産になりかかっている状態をいいます。妊娠22週0日未満の場合は切迫流産といいます。

1. 切迫早産の兆候、症状は?

切迫早産の自覚症状には以下のようなものがあります。

規則的な子宮収縮(お腹の張り)

子宮収縮の際には、お腹を手で触ると子宮が硬くふれます。下腹部の圧迫感や下腹部痛、腰痛などを同時に自覚する場合もあります。

性器出血

子宮の出口が開いてきている際に、出血が起こる場合があります。帯下(おりもの)に混じった粘り気のある出血から赤茶色の褐色出血までその量や性状は様々です。

破水

赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ羊水が子宮外に漏れ出てしまうことを破水といいます。破水をすると自然に羊水が流れ自分では止めることはできません。破水した際に出る羊水の量は尿もれの様な程度から大量に1度に流れ出る人まで様々です。無色透明から淡い黄色でサラサラとした液体であるのが特徴です。

2. 早産の原因、切迫早産のリスクって?

早産はもともとの母体側の特性や感染、胎児側の要因で引き起こされます。はっきりとしない場合もありますが、早産のうちの1/3程度が絨毛膜羊膜炎などの感染が原因とされています。切迫早産は早産の兆候がある状態を指すため、早産の要因は切迫早産のリスクとなります。

切迫早産になりやすいと予想される要因の例として下記が知られています。

  • 母体側の要因
    • 感染(絨毛膜羊膜炎、細菌性腟症、頸管炎)
    • 早産の既往
    • 子宮頸管無力症
    • 子宮の異常(子宮奇形、子宮筋腫、子宮頸部円錐切除術などの術後など)
    • 喫煙
  • 胎児側の要因
    • 多胎妊娠(双子以上の妊娠)
    • 羊水過多(羊水の量が多い)

それぞれについて説明します。

感染(絨毛膜羊膜炎、細菌性膣症、頸管炎)

早産のうち1/3は感染が原因です。

膣の中には通常、常在菌といわれる菌が存在することで膣内を酸性に保っています。しかし、何らかの原因で膣内の菌のバランスが崩れ異常な細菌が増殖した状態を細菌性膣症といいます。細菌性腟症に関しては、膣培養検査を行うことで診断されます。異常増殖した菌の全てが早産の原因になるというわけではありません。しかし、異常細菌が子宮頸管に感染していき、卵膜に達してしまうと絨毛膜羊膜炎といった早産の原因となるような感染を起こす可能性があります。

絨毛膜羊膜炎は、子宮の収縮を起こすプロスタグランジンを作り、それによって子宮を収縮させるとともに子宮頸管を柔らかくさせたり、子宮の出口を押し広げるような役割を果たしてしまいます。また、炎症を起こした組織がエラスターゼという酵素を放出し、卵膜が破れやすい状態にしてしまうため破水を起こしやすくなります。

絨毛膜羊膜炎の診断は、出産後の胎盤を病理検査に出すことで確定されますが、妊娠中には母体の発熱がないか(38℃以上)、母体の頻脈(脈拍数が100回/分以上)がないか、圧痛(子宮を押すと痛い)の有無、膣分泌物・羊水の悪臭の有無、母体の白血球数の増加(≧15,000/μL)などの臨床的な症状の有無で診断します。

早産の既往

早産をしたことがある女性では、早産の回数が多いほど、また前回の早産の妊娠週数が早い(妊娠32週以前)ほど次の早産のリスクが高いとされています。

子宮頸管無力症

子宮収縮(お腹の張り)や出血などの自覚症状がないまま子宮口の開大や頸管長の短縮がみられる状態のことを子宮頸管無力症といいます。前回の分娩の際に子宮頸管無力症と診断されていた場合には、次回の分娩で早産のリスクが高くなります。

子宮の異常(子宮奇形、子宮筋腫、子宮頸部円錐切除術の術後など)

子宮筋腫は妊娠に伴う変性や感染によって切迫早産の原因となることがあります。子宮奇形は通常の子宮に比べて耐久できる容積が少ない可能性があり早産のリスクが増します。また、妊娠前に子宮円錐切除術などの頸部の治療をしており妊娠時の子宮頸管長が短い場合にも早産のリスクは上昇します。

喫煙、タバコ

タバコに含まれる有害物質は、早産のリスクを上昇させます。

多胎妊娠(双子以上の妊娠)、羊水過多(羊水の量が多い)

双子や羊水の量が多い場合には、子宮の内圧が上昇しやすく早産のリスクが高まります。

3. 切迫早産の検査は?

切迫早産では、診察(内診やクスコによる診察)や経腟超音波検査、血液検査、膣培養検査、NST検査、早産マーカー検査などを行います。診察や経腟超音波検査では、子宮の状態や子宮頸管の長さの測定、出血や破水の有無を判定します。子宮収縮の頻度や周期、赤ちゃんの元気さを確認するために分娩監視装置を用いた胎児心拍陣痛図の測定や経腹超音波検査を行います。血液検査、膣培養検査、早産マーカー検査では、感染の兆候の有無を確認します。これらの検査を通して、切迫早産の診断や治療方法の検討を行っていきます。

詳しくは「切迫早産の症状、検査はどんなものがある?」で説明しています。

4. 切迫早産の治療は?

赤ちゃんの成長は週数によって大きく異なり、何週頃に出生したかによって赤ちゃんの出生後の経過も変化してきます。切迫早産の治療の目的は、妊娠期間をできるだけ延長することです。

治療は、子宮収縮抑制剤を使用しお腹の張り(子宮筋の収縮)を抑えたり、感染が原因であると考えられる場合には抗菌薬の投与を行います。また、切迫早産が進行していると考えられる場合には、入院して安静治療が必要な場合もあります。また分娩施設によっては早産となった場合に赤ちゃんの治療が難しいことがありますので、切迫早産の診断に至った場合には治療が可能な施設に転院となることもあります。

詳しくは「切迫早産の治療は?手術・薬の効果は?」で説明しています。