しゃーがすびょう
シャーガス病
サシガメという昆虫を媒介とした、トリパノソーマ・クルージという原虫による感染症。心臓や消化管に症状を引き起こす
2人の医師がチェック
80回の改訂
最終更新: 2017.12.06
シャーガス病の基礎知識
POINT シャーガス病とは
シャーガス病はトリパノソーマ・クルージという原虫に感染することで起こる病気です。サシガメという昆虫が媒介となって人に感染します。母親が感染しているとお腹の中の赤ちゃんにも感染する可能性があるので、妊婦の感染には特に注意が必要です。とはいえ、日本国内で感染することはほとんどなく、中南米を旅行する際に注意が必要な感染症になります。主な症状は皮膚が赤く腫れて固くなる・結膜が赤くなる・まぶたが腫れる・熱が出る・身体がだるくなるなどです。これらを治療せずにいると、数年から数十年後に一部の人では心臓・食道・大腸などに影響が出てきます。 血液監査を行って診断します。治療には抗寄生虫薬を用います。シャーガス病が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。
シャーガス病について
- トリパノソーマ・クルージという
原虫 に感染することで発症 する- ヒトを含め、イヌやネコなど多くの哺乳類に感染する
- サシガメという昆虫が媒介する
- サシガメは哺乳類の吸血昆虫である
- 吸血の際に感染するのではなく、吸血時に落とした糞中に原虫がいて、これが傷や粘膜から体内に侵入する
- トリパノソーマ・クルージに感染したサシガメはアメリカ大陸で見られる
- 流行地域はラテンアメリカ
- 輸血を介しての感染や、胎盤を介した母親から胎児への感染もある
- 母親が感染している場合、1−5%が胎内で感染すると言われている
- 胎内で感染すれば流産や死産、死亡率の高い新生児期の感染につながる
シャーガス病の症状
原虫 が体内に侵入すると、1−2週間後から急性期の症状 が現れ、やがて数年から数十年かけて慢性期の症状が現れ始める- 急性期に症状がないこともあり、また慢性期の症状が出現せずに一生を終える人もいる
- 急性期(1週間から数か月)
- 原虫が侵入した部位の皮膚が赤く硬くなる(ジャゴーマと呼ばれる)
結膜 から侵入した場合、その側の結膜炎、まぶた の腫れ、耳の前のリンパ節 腫脹 が見られる(ロマーニャ徴候)- 熱や疲労感、かゆみ
- 慢性期(数年から数十年後):潜伏期を経て、感染者の20-40%に慢性期の症状が現れる
シャーガス病の検査・診断
- 血液の顕微鏡観察
- 急性期であれば血液中に
原虫 が多くいるため、血液を顕微鏡で観察することで原虫が見つかり診断がつく - 潜伏期、慢性期には血液中に原虫がほとんど存在しない
- 急性期であれば血液中に
- 血液検査
- PCR法:血液中の原虫のDNA検出する
抗体 の有無を調べる
シャーガス病の治療法
- 急性期であればニフルチモックスまたはベンズニダゾールが用いられる
- どちらも副作用の頻度が非常に高く、途中で治療を中断しなければならないことも多い
- 副作用として皮膚の
症状 や食欲不振、神経障害がある
- 急性期の症状自体は、基本的に様子を見ていても治る
- 慢性期の症状に対しては完治につながる治療法がなく、各症状に対しての
対症療法 が行われる - 予防が重要
- 流行地域の家屋では殺虫剤を撒いたり、殺虫剤を塗布した蚊帳を使う
シャーガス病のタグ
シャーガス病に関わるからだの部位




