Beta サルコペニアのQ&A
サルコペニアの原因、メカニズムについて教えて下さい。
サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉の量や筋力が低下してくる状態のことを言います。サルコペニアの原因は主に2つで、加齢によって生じるものと、何らかの原因によって引き起こされるものがあります。加齢以外の原因は様々で、寝たきりや日常の活動量が低下しておこる廃用性のもの、病気に伴って起こるもの、栄養状態が悪く起こるものなどがあります。
サルコペニアは、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?
サルコペニアは、加齢に伴って生じるため、高齢であるほど患者さんは増えます。所説ありますが、サルコペニアの患者さんは、60-70歳では5~13%、80歳以上では11-50%いるといわれています。
サルコペニアとカヘキシアの違いについて教えて下さい。
サルコペニアに似た症状に、カヘキシアと呼ばれるものがあります。カヘキシアとは、がんやうっ血性心不全、末期の腎不全などに伴って生じるものです。カヘキシアも同様に筋肉の量が著しく低下します。カヘキシアは、サルコペニアの原因のひとつとして考えられています。
サルコペニアが発症しやすくなる、またはサルコペニアの人が他に注意すべき病気はありますか?
心臓や肺、肝臓、腎臓、脳といった臓器が重度に障害されている方や、悪性腫瘍がある方、炎症性疾患や内分泌疾患を持っている方は、サルコペニアを発症しやすくなります。また、嚥下障害(飲み込みが難しくなる障害)の患者さんは、栄養を十分に摂ることが難しくなるため、栄養状態が悪くなり、サルコペニアになりやすいとされています。
サルコペニアは、どんな症状で発症するのですか?
サルコペニアは、筋力が弱ったり、歩く速度が遅くなり、日常生活を送ることが難しくなってきます。歩行速度が0.8m/秒より遅くなると、サルコペニアを疑い、検査を行うとされています。これは、目安として「横断歩道を青信号のうちに渡りきれる速さ」と考えられます。ひとつの目安として、青信号が渡り切れなくなってきたら、サルコペニアを疑っても良いかもしれません。
サルコペニアが重症化すると、どのような症状が起こりますか?
サルコペニアが重症化すると、著しく筋力や筋量が低下するため、歩くことが難しくなります。そのため、何でもない所で転んでしまい、骨折してしまうこともあります。さらに、筋力が低下すると座っていることや起き上がることも難しくなり、寝たきり状態になることもあります。
サルコペニアは、どのように診断するのですか?
サルコペニアは、筋肉量、筋力、身体機能を検査し、診断します。MRI検査やCT検査、DXAというX線を使った検査などから、筋肉の量を計測します。筋力は、握力や足の筋力を測ります。また、呼吸筋の強さも測定します。身体機能は、歩く速さや階段を昇る力をみます。
サルコペニアの治療法について教えて下さい。
サルコペニアの治療は、主に食事と運動が挙げられます。筋肉を作るにはたんぱく質が欠かせません。たんぱく質は、肉や魚、卵、牛乳、豆類などに多く含まれます。これらの栄養素をしっかりとり、バランスの良い食事をすることが大切です。高齢になると食事量が減ってくる方も多いと思いますが、そういった場合は栄養補助食品や飲料を使い、栄養を補うようにしましょう。運動は、ウォーキングや体操などの有酸素運動だけでなく、ある程度負荷をかけた筋力トレーニングも必要です。
サルコペニアに関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。
サルコペニアで一度落ちてしまった筋肉は、なかなか元に戻すことが難しくなります。近頃、筋力が落ちてきた、歩く速さが遅くなってきたと思ったら、早めに予防することが大切です。たんぱく質を含む食品(肉や魚、卵、牛乳、豆類)をバランス良く摂り、日々運動を続けることが大切です。
サルコペニアを予防するためには、どんな運動をすれば良いのでしょうか。
サルコペニアを予防するためには、筋力トレーニングを行うことが大切です。急に負荷をかけると、体を痛めることになりますので、まずは自分の体重を使ったトレーニングから始めましょう。自宅で手軽に始められる運動としては、椅子からの立ち上がりやスクワット、つま先立ち、もも上げなどがあります。これらの運動を行うときは、転ばないようにトを椅子やテーブルなど支えがあるところで行いましょう。医療機関や自治体の体育館、スポーツジムなどでは、マシーンを使ったトレーニングが行えるところもあります。運動に慣れてきたら、こういった施設を利用してみるのも良いと思います。