えーじーえー(だんせいがただつもうしょう)
AGA(男性型脱毛症)
思春期以降に始まり、徐々に進行する脱毛。女性に起こることもある。
5人の医師がチェック 78回の改訂 最終更新: 2022.05.30

AGA(男性型脱毛症)で知っておくとよいこと

AGAにはデリケートな面があり悩みの種になりがちです。また、人に相談しづらいと感じて、医療機関に足を運ぶのにも勇気がいるかもしれません。ここではAGAの疑問や知っておくとよいことをまとめています。悩みがある人や相談したいけれど一歩踏み出せていない人は、参考として目を通してみてください。

1. AGAにまつわる疑問:なりやすい人、予防法はあるのかなど

AGAについて知りたいことがあっても周りの人には聞きづらいものです。ここでは患者さんが抱きやすいAGAにまつわる疑問を中心にまとめています。

AGAになりやすい人はいるのか

父親がAGAである人はそうでない人と比べて、5倍程度AGAになりやすいとされています。一方で、食事や生活習慣などとの関係ははっきりとはしていません。

AGAにはどのくらいの人がなるのか

日本人男性のうち約30%の人がAGAを発症すると考えられています。

AGAは何歳ころからなるのか

日本人男性の場合には20歳代後半から30歳代にかけて発症する人が出始め、40歳代にかけて発症する人が増えていきます。

AGAは予防ができるのか

AGAの予防にはっきりと効果がある方法は明らかになってはいません。ただし、頭皮の健康を保つ取り組みは、予防に有利に働く可能性があります。例えば、頭皮が荒れていたり不潔な状態と指摘された人は洗髪の方法を見直したり皮膚科で相談してみてください。

女性もAGAになるのか

AGAは男性型脱毛症という名前でも知られていますが、女性にも起こることがあります。近年、AGAの呼び名が変わり、日本皮膚科学会が作成するガイドラインも「男性型脱毛診療ガイドライン」から「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」へと変更されています。

女性のAGAは治療面で男性と違いがあります。男性のAGAで有効性が確かめられている飲み薬(デュタステリドやフィナステリド)は、女性では副作用のために使えません。そのため、治療はミノキシジルといった塗り薬が中心になります。

2. AGAの人が知っておくとよい日常生活の気になること

薄毛が気になってきたら、日常生活の中で抜け毛を減らすためにできることはないかと色々試したくなるものです。ここではAGAの人に知ってほしい日常生活に関わることを説明します。

ヘアカラーやパーマはAGAの進行に影響するのか

ヘアカラーやパーマがAGAの進行に影響を与えるかどうかははっきりとはしていません。ただし、施術に使われる薬品は頭皮にとって無害ではないので、薬品の影響で抜け毛が増える可能性はあります。特に、頭皮に炎症が起こっていたり傷がついている状況などでは、AGAではなくてもヘアカラーやパーマを避けたほうが無難と考えられます。心配な人は施術前にお医者さんに相談してみてください。

AGAに効果がある食べ物はあるのか

AGAに対して効果がある食べ物は明らかになってはいません。また、食物と同様にサプリメントの効果も明らかではありません。改善効果を期待して食物やサプリメントに期待を寄せるのは必ずしも悪いとは言い切れませんが、より確実に改善させたい人は科学的に効果が確認されている治療を検討してみてください。治療については「こちらのページ」が参考になります。

3. 自分でできるAGAの対策や工夫

医療機関でAGAの治療を受けると薄毛が改善し見かけの心配が減りますが、かつらや髪型を工夫することで治療をしなくても外見上の心配を減らすことができます。

かつら(ウィッグやヘアーエクステンションなど含む)の使用

かつら(ウィッグやヘアーエクステンションなど含む)を使用すると、薄毛が目立たなくなり外見に対する心配が減ります。かつらには頭全体を覆うものから、頭の一部分の薄毛を補うものまで幅広くあるので、自分の状態にあったものを探してみてください。また、かつらの使用による蒸れが頭皮に悪影響を与えるのではないかと心配する人がいますが、AGAの進行にはほとんど関係がないと考えられています。

髪型の工夫

治療やかつらによって外見を以前の状態に近づけるのは解決策の1つです。一方で、減った髪の毛の状態にマッチする髪型に変えてみるのもAGAと上手に付き合う方法かもしれません。例えば、思いきって髪を短くすると、薄くなった部分が目立ちにくくなることが期待できます。髪型を工夫してみたい人は理容師さんや美容師さんに相談してみてください。

4. AGAは治るのか:治療について知っておくとよいこと

AGAの人は治療によって髪の毛を増やすことができます。しかし、薬の効果には個人差があるので、満足できる効果を得られる人もいれば、そうでない人もいます。つまり、一概に治るとは言えません。治療の効果に満足できなければ、お医者さんと他の方法について相談するか、かつらや髪型の工夫で上手に付き合うことも検討してみてください。

AGA治療はいつから始めるのがよいのか

AGAの治療を開始する適したタイミングや基準はありません。あえて言うならば、薄毛が気になった時点で治療について相談してみるのがよいです。悩みを抱えたまま過ごすよりは、いっそ受診してお医者さんと一緒に治療の必要性を考えてみると気持ちが楽になるかもしれません。

反対に、薄毛でも特に気にならない人には治療の必要はありません。

AGAの薬物治療はずっと続ける必要があるのか

効果を持続させたい人は、AGAの薬物治療を続けるのが望ましいです。特に内服薬(フィナステリドやデュタステリド)は、服用を中止してしばらくすると増毛効果がなくなります。ミノキシジルなどの塗り薬も同様だと考えられています。

飲み薬の個人輸入は避けたほうがよいのか

AGAの治療薬は医療機関だけではなく、インターネットなどでも販売されていますが、個人購入は避けたほうがよいです。厚生労働省からは、偽物の混入や使用による健康被害が報告されています。また、仮に薬が本物であったとしても、正しい使用方法や副作用の説明を医療者から受けることはできないので、誤った使い方をして身体に悪影響が及ぶ懸念もあります。AGAの治療を考えている人は必ず医療機関で相談してください。

参考文献

日本皮膚科学会男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版
・Up To Date Androgenetic alopecia in men: Pathogenesis, clinical features, and diagnosis:Authors:Jeff Donovan, MD, PhD Beth G Goldstein, MD Adam O Goldstein, MD, MPH