ちょうかんまくじょうみゃくけっせんしょう
腸間膜静脈血栓症
腸管から肝臓に向けて流れる腸間膜静脈に血栓が詰まり、腸管が壊死したり肝機能異常や門脈圧亢進が起こる病気
5人の医師がチェック
32回の改訂
最終更新: 2023.07.29
腸間膜静脈血栓症の基礎知識
POINT 腸間膜静脈血栓症とは
腸間膜静脈は腸の間を流れる静脈です。腸間膜静脈血栓症は腸間膜静脈に血栓(血液の塊)ができる病気です。腸間膜静脈の中に血栓ができると腸がダメージを受け、重症化すると腸に穴があき(腸管穿孔)、その後腹膜炎という重篤な状態になります。突然起こる腹痛や吐き気、嘔吐、腹部膨満感などが主な症状です。血液が固まりやすくなっている状態の人(下記の腸間膜血栓症についてを参照)や門脈(肝臓に流れ込む血管)の圧が高くなっている人に起こりやすいとされています。腸管穿孔が起こっている人では、手術で穿孔した部分の腸を切除して、つなぎ直す必要があります。腸間膜静脈血栓症は急性腹症(急に腹痛が現れること)の原因の1つであり、速やかに診断や治療が必要な病気です。突然、腹痛や吐き気などを自覚した場合には、救急科や消化器外科・内科を受診してください。
腸間膜静脈血栓症について
腸間膜静脈血栓症の症状
- 突然発症するものから、数週間かけて発症するタイプまでさまざま
- 主な症状
- 腹痛
- 吐き気、嘔吐
- 腹部膨満
- 食欲低下
- 下痢
- 病状が進行すると、腸管が壊死して敗血症性ショックとなったり肝機能障害が進んで命に関わる
腸間膜静脈血栓症の検査・診断
- 初期には特徴的な症状や検査結果が現れないので診断が難しい
- 主な検査
- 血液検査
- 全身の炎症の程度や血栓による影響を見る
- 腹部造影CT検査
- 血管の詰まりそのものを確認する、最も重要な検査
- 血液検査
腸間膜静脈血栓症の治療法
- 治療の中心は、手術療法と抗凝固療法に大きく分かれる
- 手術
- 既に腸管が壊死している場合
- 腹膜炎が起こっている場合
- 抗凝固療法
- 手術をせずに様子を見る場合
- 血栓がそれ以上大きくならないようにするため
- 予想される経過
- 早期診断、治療は難しい場合が多い
- 広範囲の腸管壊死がある場合の死亡率は高い
- 再発率が高いので経過は不良とされている
この記事は役に立ちましたか?
MEDLEY運営チームに、記事に対しての
感想コメントを送ることができます
腸間膜静脈血栓症のタグ
腸間膜静脈血栓症に関わるからだの部位

