ウェルシュ菌食中毒の基礎知識
POINT ウェルシュ菌食中毒とは
ウェルシュ菌によって起こされる感染症です。ウェルシュ菌のだすエンテロトキシンが腸管に炎症を起こします。ウェルシュ菌の芽胞は熱に強いため、食べる前に加熱しても完全に感染を予防できません。また、感染が起こってから症状が出るまでの期間(潜伏期間)は12時間程度と短いのも特徴になります。主な症状は腹痛と下痢になりますが、嘔吐や発熱は比較的少ないです。 便の細菌検査で診断します。よほど重症でない限り治療を行う必要はありませんが、重症の場合は点滴などをして身体のバランスを整えます。ウェルシュ菌食中毒が心配な人や治療したい人は、感染症内科や消化器内科を受診して下さい。
ウェルシュ菌食中毒について
- ウェルシュ菌に汚染された食べ物による食中毒
- 腸内でウェルシュ菌が増殖するときに出す、エンテロトキシンという毒素により急性胃腸炎を起こす
- 大量に調理した給食や長期間保存した食品の中でウエルシュ菌が増え、それを食べることで
発症 する - 原因となる食材の多くは、肉もしくは魚介類を使ったものが多い
- カレー
- スープ
- 肉団子
- チャーシュー
- 煮物 など
- 原因となる食品は大量に調理された後、一定期間常温放置されている事例が多い
- 保存の時の温度管理の不備、冷却方法の不備などが原因で繁殖する
潜伏期間 12時間程度で、体内に侵入してから24時間以上経って発症することはほとんどない
- 日本では年間20-40件程度
- その他の特徴
- ウエルシュ菌は環境が悪くなる(調理の加熱など)と芽胞を形成する
- 芽胞は熱に強く、加熱調理しても死滅せず生き残ることがあるため、加熱のよる感染の予防効果は完全ではない
ウェルシュ菌食中毒の症状
- 問題となる食品を食べてから12時間程度経ってから腹痛や下痢などが生じる
- 重症化すると、粘血性の下痢が止まらなくなることがある
- 嘔吐や発熱は少ない
ウェルシュ菌食中毒の検査・診断
- 便の
細菌検査 - 推定原因食品の細菌検査
ウェルシュ菌食中毒の治療法
- 特別な治療を行わなくとも、多くは1-2日で回復する
- 加熱調理した食べ物は常温で放置しない
- 冷却する場合は素早く20度以下にし、保存は10度以下もしくは50度以上で行う
- 再加熱する場合は75度で15分以上しっかりと加熱する
ウェルシュ菌食中毒の経過と病院探しのポイント
ウェルシュ菌食中毒が心配な方
ウェルシュ菌食中毒は、給食や弁当などに向けて大量に作られた食料品で生じ、大勢の患者が同時に発生するような事例になりやすい食中毒です。症状は通常の食中毒とあまり変わらず、腹痛や下痢が発生します。
もしこのような症状が出現し、また同じ食べ物を食べた方で同様の症状が見られているようであれば、ウェルシュ菌食中毒の可能性があります。しかし、症状のみからその原因がウェルシュ菌食中毒だと確定させることはできません。したがって、原因となった菌が何であるかを悩む必要はあまりなく、症状が強ければ悩む前に内科や小児科のクリニックを受診してみるのが良いでしょう。大病院でなければ対応ができないような病気ではありませんので、お近くのクリニックの受診が適切です。
ウェルシュ菌食中毒でお困りの方
ウェルシュ菌食中毒は、薬で治すことができません。菌そのものが問題であれば抗生物質が効くはずなのですが、実際は菌が分泌した毒が問題となるのがウェルシュ菌による食中毒だからです。毒自体は単なる化学物質なので、抗生物質で分解することはできません。
ウェルシュ菌による食中毒では、体内に毒素が入ってから半日から1日程度で症状を発症し、基本的には1-2日ですぐに治まるのが特徴です。特効薬がありませんので、下痢による脱水を起こさないよう、少しずつでも水分を摂取しながら、体内の毒素が分解されるのを待つことが治療となります。したがって、症状が辛いときに無理をして病院を必ず受診しなければならないということはありません。病院を受診すると他の病気ではないことを確かめられるというメリットはありますが、ウェルシュ菌食中毒らしいという診断になった場合には、あとの治療は水分を小まめに取るようにすることという点では、受診せずに自宅でご自身で気をつけられることと同じです。
ウェルシュ菌食中毒が含まれる病気
ウェルシュ菌食中毒のタグ
ウェルシュ菌食中毒に関わるからだの部位


