こうちゅうきゅうげんしょうしょう(かりゅうきゅうげんしょうしょう)、むかりゅうきゅうしょう
好中球減少症(顆粒球減少症)、無顆粒球症
さまざまな原因によって、血液中の好中球が減少して免疫力が低下した状態
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最終更新: 2023.10.28
好中球減少症(顆粒球減少症)、無顆粒球症の基礎知識
POINT 好中球減少症(顆粒球減少症)、無顆粒球症とは
好中球は血液中にある免疫細胞で、白血球の一種です。細菌感染などから体を守るうえで重要な役割を果たしています。好中球減少症は血液中の好中球が正常よりも少なくなっている状態を指します。好中球が著しく低下した場合(500個以下/μL)をグレード4の好中球減少症、あるいは無顆粒球症と言います。好中球減少症では細菌の感染に対して免疫力が弱くなります。好中球減少症が起きる原因としては、抗がん剤や甲状腺の治療薬などによる薬剤性のものが多いです。好中球減少症は、血液検査で好中球数を測定することで診断します。好中球減少症の状態で細菌感染が起こると極めて重症化する危険があるので、発熱が見られた場合は直ちに抗菌薬を投与しなくてはならない場合もあります。また、好中球数を上げるためにG-CSF製剤という薬を投与することがあります。好中球減少症が心配な人や治療したい人は、血液内科を受診して下さい。また、抗がん剤や甲状腺の治療薬を処方されているかかりつけ医がいる場合にはかかりつけ医に相談してください。
好中球減少症(顆粒球減少症)、無顆粒球症について
好中球減少症(顆粒球減少症)、無顆粒球症の症状
免疫 力が低下して様々な感染症 にかかりやすくなる好中球 が減少しても、感染が起こらなければ多くの場合で無症状 である
好中球減少症(顆粒球減少症)、無顆粒球症の検査・診断
好中球減少症(顆粒球減少症)、無顆粒球症の治療法
- 薬剤によって
好中球 が減っていると疑われる場合は、可能な限り原因と疑われる薬剤の使用を中止する抗がん剤 など簡単に中止できない薬剤に関しては、メリットとデメリットを天秤にかけて慎重に抗がん剤の継続可否を判断する
- 好中球数や、発熱および
感染症 などの有無によって治療方法が変わる - 主な治療
- G-CSF製剤(顆粒球刺激因子)の注射
- 好中球を増やす効果がある
- G-CSF製剤としてフィルグラスチム(グラン®など)、レノグラスチム(ノイトロジン®)、ナルトグラスチム(ノイアップ®)、ペグフィルグラスチム(ジーラスタ®など)がある
細菌 感染、真菌 感染がある場合には、それぞれ抗菌薬、抗真菌薬による治療を検討する
- G-CSF製剤(顆粒球刺激因子)の注射
- 好中球の数に応じて、人ごみへの外出を避ける、手洗いうがいを徹底する、生ものを食べないようにする、マスクを着用する、などの感染予防策を行う
好中球減少症(顆粒球減少症)、無顆粒球症に関連する治療薬
G-CSF製剤(顆粒球コロニー形成刺激因子製剤)
- 好中球を増やす作用などをあらわし、がん化学療法などによって起こる好中球減少症に対して使われるG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)の製剤
- がん化学療法などによって引き起こされる発熱性好中球減少症(FN)は発熱を伴う好中球減少症で、時に重篤な感染症を引き起こす
- G-CSFは骨髄中の顆粒球系(特に好中球)の分化・増殖を促進する作用をあらわす
- 本剤はG-CSF製剤であり、好中球への機能亢進作用や抗アポトーシス作用などをあらわす
- 製剤によっては、造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進などに使われる場合もある