はいどうみゃくべんきょうさくしょう
肺動脈弁狭窄症
肺動脈弁が十分に開かず狭くなることで、右心室にかかる負担が大きくなっている状態
6人の医師がチェック 38回の改訂 最終更新: 2017.12.06

肺動脈弁狭窄症の基礎知識

POINT 肺動脈弁狭窄症とは

肺動脈弁狭窄症は右心室と肺動脈の間にある逆流防止弁が狭くなる病気です。肺動脈弁が狭くなると十分な血流を肺に送ることが難しくなるため、心臓に負担がかかります。初期の症状は自覚しないことがほとんどですが、だんだんと動いた時に息切れを感じるようになります。その後さらに進行すると胸痛や安静時の息切れなどが現れるようになります。 症状や身体診察に加えて、心電図検査や画像検査や心臓エコー検査を用いて診断します。弁膜症の程度が強くなった場合は手術を行って治療します。肺動脈弁狭窄症が心配な人や治療したい人は、循環器内科や心臓血管外科を受診して下さい。

肺動脈弁狭窄症について

  • 肺動脈弁が十分に開かず狭くなることで、右心室にかかる負担が大きくなっている状態
    • 心臓の右心室という部屋と肺動脈の間にある逆流防止弁である肺動脈弁が狭くなる
    • 右心室から肺に血流が流れにくくなる
    • 心臓は十分な血流を肺に送ろうとするため右心室に負担がかかる

肺動脈弁狭窄症の症状

  • 重症以外は通常無症状のことが多い
  • 症状が進行すると、最初に体動時の息切れなどが起こる
  • その後さらに進行すると、安静時の息切れや胸痛が出ることがある

肺動脈弁狭窄症の検査・診断

  • 心臓や肺についての検査を行う
    • 画像検査
      • 胸部レントゲン検査
      • 心臓超音波検査
    • 心電図
    • 必要な場合は心臓カテーテル検査で詳しい検査を行う

肺動脈弁狭窄症の治療法

  • 無症状の場合や、狭窄の程度が軽い(心室と肺動脈の圧の差が一定より少ない)場合は積極的な治療を行わず経過を観察する
  • 症状があるような場合や狭窄の程度が一定以上(50mmHg程度)ある場合は手術か血管内治療を行う
    • 血管内治療(バルーン弁形成術)
      • 先端に風船(バルーン)のついたカテーテルを肺動脈弁の部位まで進めて風船をふくらませることで、弁の開口部を伸ばし弁が広がるようにする
    • 手術では、一般的には人工心肺を用いて肺動脈弁切開を行う

肺動脈弁狭窄症の経過と病院探しのポイント

肺動脈弁狭窄症が心配な方

肺動脈弁狭窄症によって心不全が起こると、息切れや全身のむくみといったような症状がみられます。

上記のような症状に該当してご心配な方は、まずはかかりつけ医があればそちらを、そして特にかかりつけの医療機関がない場合には循環器内科または心臓血管外科のある病院での受診をお勧めします。心臓血管外科と同様の診療科のことを胸部外科、血管外科、心臓外科と呼んでいる病院もあります。肺動脈弁狭窄症を主に診療する専門医は、循環器専門医、心臓血管外科専門医です。内科を受診するか外科を受診するかは病気の重症度や時期によって変わってきますので、詳しくは後述します。肺動脈弁狭窄症は心臓の弁膜症と呼ばれる病気の一種ですから、弁膜症外来のある病院やハートセンターを設けている病院も、専門性が高く高度な医療を提供していると言えます。

肺動脈弁狭窄症の診断は、心エコーで行います。肺動脈弁狭窄症があるかどうかの診断や、ある程度重症度の検討をつけるだけであれば、クリニックを含め、心エコーの機械がある医療機関ならばどこでも行うことができます。細かな重症度の判断や、肺動脈弁狭窄症以外に心臓の病気が重なっていないかどうかを判断するためには、循環器内科、または心臓血管外科のある病院で入院して検査を行います。ここまで本格的な検査を行うのはある程度以上の重症度の場合になりますが、重症の肺動脈弁狭窄症心不全につながって命に関わることがあるため、大切な検査です。心臓のカテーテル検査や、経食道エコーと呼ばれる胃カメラのようなエコー検査、また、医師の立ち会いの下で軽い運動をして、心臓に負荷をかけた時に心臓の働きがどうなるかといったことを調べます。

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