わんしんけいそうそんしょう
腕神経そう損傷
事故や怪我、難産などの影響で「腕神経そう」が損傷し、腕の運動の障害やしびれが出ている状態
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最終更新: 2022.03.23
腕神経そう損傷の基礎知識
POINT 腕神経そう損傷とは
神経叢は神経がつながったり分岐したりしている網の目状の組織です。腕神経叢は鎖骨の下にあり、腕の神経に分岐していきます。腕神経叢損傷が起こる主な原因は、交通事故や骨の異常(鎖骨骨折や肩関節脱臼、上腕骨骨折)、出生時に首や腕が強く引っ張られることなどです。力が入らずに腕が上がらないなど運動麻痺の症状が現れることもあれば、腕や指のしびれといった感覚麻痺の症状が現れることもあります。神経の損傷の程度を調べるために、MRI検査が行われ、状況が詳しく調べられます。損傷の程度によって治療法が変わり、自然治癒が見込める場合は、経過観察が行われ、損傷の程度が強い場合には手術によって神経を修復します。腕神経叢損傷の診療は整形外科で行われます。
腕神経そう損傷について
- 「腕神経そう」が損傷し、腕の運動の麻痺やしびれが出ている状態
- 腕神経そうとは、脇の下の奥にある脊髄から出た太い神経が腕に行くときの通り道
- 腕を動かすための命令や、腕の感覚の情報を伝える役割をしている
- 主な原因
- 損傷の程度によって症状や治療方法が変わる
- 太い神経(神経根)が引っ張られて脊髄からちぎれてしまった状態(引き抜き損傷)では重症となる
腕神経そう損傷の症状
- 損傷した部位や程度によって症状は変わる
- 症状の例
- 運動麻痺の症状
- 力が入らず、腕が上がらない
- 肘を曲げる力が弱い
- 指に力が入らない
- 感覚麻痺の症状
- 腕や指のしびれ
- 生まれた後の新生児が腕を動かさない
- 運動麻痺の症状
- 重症になるとまぶたが落ちる(眼瞼下垂)など自律神経の障害(ホルネル徴候)が出ることがある
腕神経そう損傷の検査・診断
- 症状や受傷の状況から腕神経そう損傷が疑われ、画像検査や神経学的検査によって診断される
- 画像検査
- レントゲン検査:鎖骨や肩の骨の状態を検査
- MRI検査:実際の神経に状態を詳しく検査する
- 神経学的検査
- 麻痺している筋肉や感覚の部位を詳しく調べて、損傷している部位を詳しく調べる
腕神経そう損傷の治療法
- 損傷の部位や程度によって治療方法が変わる
- 自然回復が見込める場合は安静にして自然回復を待つ
- 損傷の程度が強く自然回復が見込めなければ手術を行う
- 手術治療
- 神経修復により回復が見込めれば神経移植術を行う(もとの神経を修復する)
- 修復だけでは回復の見込みがなければ、神経移行術を行う
- 肋骨の神経などを取ってきてつなぎ合わせる
- 神経機能の回復の見込みが低い場合、関節を固定したり、正常に動く筋肉を肩や肘などに移行する手術を行うことがある
- 分娩麻痺の場合は自然回復をする場合が多いが、麻痺が残る場合は学童期に手術を行うことがある
- 手術を行わなかった場合(保存療法)
- リハビリテーション
- 関節拘縮予防
- 障害されていない筋肉(残存筋)強化訓練
- 装具の使用
- ビタミンB12の内服
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