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肩関節脱臼

肩が外れた状態。

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7人の医師がチェック 63回の改訂 最終更新: 2016.08.15

肩関節脱臼の基礎知識

肩関節脱臼について

  • いわゆる「肩が外れた」状態
    • 肩に急激な重みがかかったり引っ張られたりすることによって起こる
  • 主な原因
    • ラグビー、柔道などのスポーツ
    • 転倒
    • 交通事故
  • 10~20代で起こることが多い
  • 前方脱臼と後方脱臼に分類される
    • 前方脱臼:腕の骨が前の方に外れた状態
    • 後方脱臼:腕の骨が後ろの方に外れた状態
    • 前方脱臼がほとんど

肩関節脱臼の症状

  • 肩の痛み:動かすと、主に肩の前方に痛みを感じる
  • 肩を動かすことができない:自分では動かすことができないが、医師による補助があれば動く
  • 肩の丸みがなくなる(肩の部分に「くぼみ」ができる)

肩関節脱臼の検査・診断

  • 画像検査
    • レントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査:脱臼や、それに伴う骨折がないかを調べる
      ・まず最初に行う検査
      ・脱臼の方向を確かめる意味もある
    • CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査:レントゲンで分からないような骨折を調べる
      ・もしくは手術の方式を決定するために撮影する
    • MRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査:CTでも分からないような骨折や、骨と骨を結ぶ靭帯骨と骨をつないでいる丈夫な組織。関節を作る役割を果たしているのダメージを調べる
  • 必要であれば関節や軟骨関節で骨同士が直接こすれないように、骨の表面についている組織。衝撃を吸収したり、関節が滑らかに動くのに必要のダメージを調べるために関節造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすること検査を行うこともある

肩関節脱臼の治療法

  • 主な治療法
    • 保存療法手術のような体に負担の強い治療を行わずに治るのを待つ、もしくは経過を観察する方法。薬による治療やリハビリなど、体を直接傷つけないような治療を含む:肩を整復した後に、三角巾骨折後などで応急処置に用いられる包帯の一種や肩専用の装具を使って固定する
    • 手術:関節鏡関節の中に小さいカメラを入れて、関節内部の状態を調べる検査下手術(小さいカメラ自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途があるを肩関節の中に入れて、肩の修復を行う)
    • リハビリテーション
      ・保存療法または手術後に肩の働きを改善するために行う
      ・脱臼しやすい動きがあるため、日常生活で危険な家事や腕の動きについて動作指導も行う
  • 長期的な経過
    • リハビリテーションを行うことで、スポーツに復帰できるレベルまでの肩の働きを改善することができることが多い
    • 一度脱臼すると脱臼がくせになり、「反復性肩関節脱臼」になることが多い

肩関節脱臼の経過と病院探しのポイント

肩関節脱臼かなと感じている方

肩関節脱臼は、特に若い人では繰り返しやすい肩の障害の一つです。肩の骨同士は靱帯で結びつきながら、片方の骨のくぼみの中にもう一方の骨の先端が収まって本来しっかりと固定されています。しかし脱臼があるということは靱帯が傷ついたり、骨のくぼみが欠けたりして固定が弱まっているということですから、軽い力が加わるだけで再度脱臼を起こしやすくなっている状態でもあります。

肩関節脱臼は肩のケガの中でも比較的多いもので、スポーツなどで強い衝撃を受けた後から肩が痛くて腫れているような場合には、肩関節脱臼の可能性があります。それ以外に似た症状を来たす状況としては肩の骨や鎖骨の骨折といったものがあります。これらのいずれでも肩関節は腫れて強い痛みを伴うため、何度も繰り返している方以外では、症状だけからご自身で肩関節脱臼と診断するのは必ずしも容易ではありません。実際に医療機関を受診された後は、肩関節脱臼の診断は診察とレントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査で行います。また靭帯骨と骨をつないでいる丈夫な組織。関節を作る役割を果たしているの損傷を確かめるためにMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査が行われることもあります。

ご自身の症状が肩関節脱臼でないかと心配になった時、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。痛みで全く立ち上がれないという時には救急車での受診が適切でしょう。歩いての受診が可能で、結果的に骨折ではなく筋肉や靱帯の軽度の損傷であればクリニックで対応が可能です。もし診断が肩関節脱臼で手術が必要そうな場合には、レントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書前の病院で行われた検査や治療、経過をまとめて、他の医療機関へ引き継ぐための資料。俗に「紹介状」と呼ばれているものを指す紹介状前の病院で行われた検査や治療、経過をまとめて、他の医療機関へ引き継ぐための資料。正式名称は「診療情報提供書」)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。

受診先として、総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないの救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります(日中は救急外来が開いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。

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肩関節脱臼でお困りの方

肩関節脱臼の場合、まずは脱臼を治すことが必要です。これを脱臼の整復と言います。麻酔を行った上で腕を引っ張りながら関節の位置が適切になるよう、骨を元通りにします。仰向けのまま行う方法や、腹ばいになって行う方法など様々な手法があります。

脱臼の整復は基本的には局所麻酔で行います。肩関節に注射をして行うことで痛みを和らげることができますが、それでも整復時には痛みが残ります。完全に眠ってしまう全身麻酔局所麻酔に対して、眠って意識が完全になくなってしまう麻酔のこと。寝ている間は呼吸が止まってしまうため人工呼吸器を使用する必要があるで整復を行うことも無くはないのですが、全身麻酔には様々な危険性があるため、気軽に行える処置ではありません。麻酔薬によって呼吸が止まってしまい人工呼吸が必要となってしまうリスクがあることや、麻酔薬が体から抜けるまで1泊入院が必要となることもあります。痛みを伴う局所麻酔の整復よりも、眠っている間に治して欲しいというご意見はよく聞くところではあるのですが、このような事情があり局所麻酔での整復を第一に考慮する医療機関が多いです。

脱臼を整復した後は、三角巾骨折後などで応急処置に用いられる包帯の一種を装着して肩を動かさないようにして過ごします。平均的には3-6週間そのまま固定した後に徐々にリハビリを開始していきますが、ご高齢の方の場合にはあまり固定しすぎると肩の動く範囲が狭まってしまうため、この半分程度の期間に留めることが多いです。

肩関節脱臼を繰り返して日常生活に支障がある場合、またはスポーツを専門的に行っている方の場合には手術を受けるのも選択肢の一つです。肩関節を固定している靱帯や骨を修復する手術です。

手術を行う場合には、大きく分けて二通りの手段があります。直視下手術(肩に傷を開けて行う通常の手術)と関節鏡関節の中に小さいカメラを入れて、関節内部の状態を調べる検査下手術(肩に小さな傷を開けて内視鏡自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途があるで行う手術)です。関節鏡下手術の方が傷口が小さくて済むために術後の回復が早い、傷口が目立ちにくいというメリットがある一方で、関節鏡を用いた手術を行う施設は限られているのが現状です。病院によってどちらの手術を主体で行っているかが異なるため、受けられる治療が変わってきます。

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