くもまくのうほう
くも膜のう胞
脳の表面を覆うくも膜の一部が袋状になった状態のこと。特に症状はないことが多い
8人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2017.06.15

Beta くも膜のう胞のQ&A

    くも膜のう胞の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    くも膜のう胞は生まれつきあると考えられており、母親の胎内で脳槽ができるときに、くも膜の一部に髄液が溜まって起こるとする説がありますが、正確なことは分かっていません。また幼児期の頭部外傷が原因になっておこる、とする報告もあります。

    くも膜のう胞は、どんな症状で発症するのですか?

    多くの場合、頭部外傷後の頭の検査で偶然発見されます。

    症状を出すことは稀ですが、頭痛、脱力、けいれん発作、視力障害、認知機能障害などを起こすことがあります。

    また、まれですが、脊髄にできることで、側弯症を起こすことがあるとされています。

    くも膜のう胞は、どのように診断するのですか?

    頭部CTや頭部MRIで見つかります。血液検査は有用ではなく、脳波も、けいれん発作(症候性てんかん)がない限りは有益ではありません。

    くも膜のう胞の治療法について教えて下さい。

    のう胞を髄液腔(脳槽)とつなげる手術があります。開頭手術(頭蓋骨の一部を切り取って外す手術)で行ったり、小さい孔を頭蓋骨に開けて、内視鏡を用いて行ったりすることもあります。

    くも膜のう胞の手術をすることによって、続いて水頭症が起こったり、硬膜下水腫が起こったりすることがあります。また前述の手術を行っても改善しないこともあります。このような場合には、くも膜のう胞、もしくは脳室からお腹の中(腹腔)までチューブを入れる、VPシャントと呼ばれる手術を行う場合があります。

    くも膜のう胞は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    一般的な原因で亡くなった方で、解剖をして調べた際に、くも膜のう胞が偶然発見される頻度は0.1-0.7%程度、またMRIで同様に発見される頻度は0.75%程度と言われています。すなわち、100人から1000人に1人くらいの頻度の病気です。

    多くは、20歳までに発見されます。また男女比は2:1程度と言われています。

    くも膜のう胞が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    まれな症状ではありますが、くも膜のう胞が持続的に大きくなってくることがあります。その場合、頭痛や脱力感といった症状が悪化することがあります。

    くも膜のう胞の、その他の検査について教えて下さい。

    腰椎穿刺といって、背中からする注射の検査を行うことがあります。くも膜のう胞が髄液腔と繋がっているかどうかを調べるために行います。

    くも膜のう胞の治療薬の使い分けについて教えて下さい。

    手術の効果に関してしっかりとした統一見解はありませんが、最近の傾向としては、まず侵襲の小さい治療を優先することが多く、可能な施設では内視鏡による治療を行います。シャント手術は、異物を体内に留置することになるため、感染や、腹膜炎などの合併症の危険が伴います。これらを行う前に、異物を留置しない治療からまず選択されることが多いです。

    くも膜のう胞は、遺伝する病気ですか?

    家族性、すなわち遺伝するタイプの特殊なくも膜のう胞がいくつか報告はされていますが、原則として遺伝性はありません。

    くも膜のう胞と診断が紛らわしい病気はありますか?

    のう胞を作りやすい脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、神経鞘腫、血管芽腫など)や、ラトケのう胞といった別の種類ののう胞が、同じような形になるため区別が必要になります。

    くも膜のう胞では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    くも膜のう胞の治療を行う場合には、手術による治療となりますので入院が必要になります。特に症状がない場合には、治療も不要な場合が多く、成人であれば外来への通院も不要です。

    くも膜のう胞に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    頭部のケガにともなって、硬膜下血腫が生じるような場合、出血がくも膜のう胞の中に広がって症状が悪化するということがありますが、頭部のケガがあれば必ず起こるというものではありません。

    くも膜のう胞があるから、何かを避けなければならないといった特別な制限は一般的にはありません。

    くも膜のう胞は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    くも膜のう胞による圧迫が問題になっている場合は、手術でのう胞がつぶれてしまえば、完治に近いと言えます。

    ただし、けいれん発作(症候性てんかん)に伴って発見された場合は、くも膜のう胞の手術と、それによってけいれん発作が治るかどうかは別に考える必要があります。また視力障害などの症状があり、それが進んで時間が経っている場合には、くも膜のう胞の処置を行っても視力が回復しないことがあるかもしれません。

    くも膜のう胞がある場合、定期的に検査を受けて経過を見た方がいいですか?

    小児期に見つかった場合には、大きくなってこないかどうか経過を見る方がよいと考えられます。

    成人で、特に症状なく、何かしらの検査で偶然発見された場合は、その後に大きくなることは稀であり、通常定期的な検査は不要です。のう胞を作るようなその他の脳腫瘍でないことがはっきりしているのであれば、成人の場合にはあまり気にされない方が良いかもしれません。