とうにょうびょうそくびょうへん
糖尿病足病変
糖尿病患者は感染症を起こしやすいが、それらに多く見られる潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)といった足の感染症の総称
8人の医師がチェック 78回の改訂 最終更新: 2017.10.14

糖尿病足病変の基礎知識

POINT 糖尿病足病変とは

糖尿病の人の足にできた病変のことです。潰瘍や壊疽が起こりやすいです。主な症状は、皮膚の黒色変化・皮膚の発赤・水疱・潰瘍・皮膚の下の組織の壊死などになります。糖尿病によって感染に弱くなることと神経が鈍くなって痛みなどに気づきにくくなることから病気が進行しやすいです。 症状の経過と糖尿病の程度によって診断します。また、神経障害の進行度を見るために腱反射や神経伝導検査を行うことがあります。治療としてはなによりも患部を清潔に保つことが大切です。傷の治りを促すために塗り薬や飲み薬を用いることもあります。また、小さな傷から壊疽が起こることがありますので、傷を見逃さないように毎日足を観察することも大切です。糖尿病足病変が心配な人や治療したい人は、皮膚科・代謝内分泌内科・感染症内科を受診して下さい。

糖尿病足病変について

  • 糖尿病患者は感染症を起こしやすいが、それらに多く見られる潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)といった足の感染症の総称
  • 高血糖により、足の神経や血管がもろくなることに加えて免疫力が低下し、靴ずれや低温やけどなどでも重度の症状へと悪化しやすくなる
  • 感染症が起こりやすくなる原因には以下が考えられる
    • 血流が悪くなること(栄養が行き渡らず傷が治りにくくなる)
    • 神経の機能が低下すること(痛みを感じないため病変に気づかなくなる)
    • 細菌への抵抗力が低下すること(感染を起こしやすくなる)

糖尿病足病変の症状

  • 潰瘍:皮膚の一部がえぐれて肉が見えること
  • 壊疽:皮膚などの組織が死滅し、暗褐色や黒色に変色する

糖尿病足病変の検査・診断

  • 視診により、傷や感染などがないかを確認することが重要
  • 補足的に、神経の状態を調べるために神経学的検査を行う
    • 振動覚検査:細かな振動に対する感覚の検査
    • 深部腱反射:神経の伝わりやすさを調べる

糖尿病足病変の治療法

  • 早期発見と早期対処が必要
    • 定期的な観察
    • フットケア(足の手入れ)の指導を行う
    • 足を清潔に保つ
    • 深爪しないようにする
    • 傷を作ったり悪化させないために適切な靴を使用する
    • 糖尿病の治療をしっかりと行い、血糖値を乱れさせない
  • 治療に使われる主な薬剤
    • プロスタグランジン関連薬:血管を拡張させ血流をよくする
    • 抗血小板薬:血液を固まりにくくし血流をよくする
    • 血管拡張薬:血流をよくする
    • ビタミンE:皮膚の回復を促す
    • 抗菌薬の外用剤:感染を防ぐ
    • タンパク質分解酵素壊死した組織を取り除く
    • ステロイド軟膏:炎症を抑える
    • 線維芽細胞成長因子:肉芽(皮膚が再生する前の段階)の形成を促す
  • 神経や血管の機能の低下が進んでいると病変が再発するリスクが高い

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