2017.09.07 | ニュース

糖尿病で足がひび割れ、保湿剤で治る?

167人で比較

糖尿病で足がひび割れ、保湿剤で治る?の写真

糖尿病の人では、足の血行が悪くなり感覚が鈍くなるなどの変化によって、足に重い感染などが現れることがあります。悪化を防ぐため、足にひび割れがある段階で保湿剤を使って治療できるかが検討されました。

糖尿病足病変とは?

糖尿病は全身にさまざまな影響を及ぼします。網膜・腎臓・神経の変化に加えて、足に起こる変化もよく知られています。糖尿病により足の血行が悪く感覚が鈍くなること、さらに全身が感染に対して弱くなることで、足の傷口から細菌が入るなどして、足が壊疽(えそ)などの状態に陥ることがあります。重症では足の切断が必要になることもあります。

糖尿病の治療中は足の変化に注意して、悪化の様子がないかこまめに確かめることが勧められています。

 

糖尿病患者の足のひび割れに保湿クリームは有効か

フランスとベルギーの研究班が、かかとにひび割れのある糖尿病患者を対象に保湿クリームの効果を試し、結果を専門誌『Diabetic Medicine』に報告しました。

167人の患者が参加しました。参加者はランダムに2グループに分けられました。

  • 尿素・グリセリン・ワセリンの入った保湿クリームを使うグループ
  • 有効成分のない偽薬を使うグループ

尿素、グリセリン、ワセリンはいずれも一般的に皮膚の保湿剤としてよく使われている成分です。

それぞれのグループで4週間治療を続けました。効果判定のため「治したいひび割れ」を決めて治療前後の様子を観察しました。

 

深く開いたままの人が少なくなった

治療の結果、治したいひび割れが完全に治った割合は、保湿クリームと偽薬の違いが統計的に確認できませんでした。ただし改善の程度について次の結果が得られました。

偽薬よりも試験クリームのほうが、治したいひび割れが深く開いたままである参加者が少なく、その差は統計的に有意であり臨床的に有意義であることが2週後(24.7% vs 42.7%、P=0.027)と4週後(6.4% vs 24.1%、P=0.002)に示された。

2週間後と4週間後に比較して、治したいひび割れが深く開いたままの人は、保湿クリームを塗ったグループのほうが少なくなりました。

 

糖尿病では足の保湿を

保湿クリームにより、糖尿病の人で足のひび割れにいくらかの改善効果があったとする報告を紹介しました。

糖尿病による足の変化は生活に大きく影響する恐れもあります。履き物に気を付けることや小さい変化に早く気付くことも大事と言われる一方で、保湿クリームも日々のケアの助けになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Treatment by a moisturizer of xerosis and cracks of the feet in men and women with diabetes: a randomized, double-blind, placebo-controlled study.

Diabet Med. 2017 Sep.

[PMID: 28627029]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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