すいとうしょう
水頭症
脳の内部の空間である脳室に過剰な脳脊髄液が溜まって、脳室が拡がった状態
14人の医師がチェック 93回の改訂 最終更新: 2018.09.14

Beta 水頭症のQ&A

    水頭症の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    脳は脳脊髄液という水の中に浮かんでいます。この脳脊髄液は脳の脈絡叢という組織で作られ、脳と脊髄の周りを循環して吸収されるという循環ができています。 水頭症ではこの循環がどこかで妨げられ、脳の内部の脳室という部分で脳脊髄液がたまってしまい、脳を内側から圧迫する状態です。水頭症はさまざまな原因で起こります。 新生児の場合は、母体内での脳室内出血や、感染などによる炎症、腫瘍により起こります。学童・成人期には、髄膜炎、脳腫瘍、頭部外傷、くも膜下出血などが原因となって起こります。くも膜下出血を起こした場合にも、髄液の循環が悪くなり、およそ5人に1人が水頭症を起こします。

    交通性水頭症と閉塞性水頭症の違いについて教えて下さい。

    脳脊髄液がたまってくるのは
    1. 作られる量が増えすぎる。

    2. 通り道が塞がってしまう。

    3. 吸収が悪くなる
    という3つの原因があります。1,3では脳脊髄液の通り道自体は通っており、交通性水頭症と呼ばれます。 一方、通り道が塞がってしまう場合には、閉塞性水頭症と呼ばれます。中脳水道狭窄症という完全に詰まっている状態ではない場合であっても、閉塞性水頭症に含めます。 閉塞性水頭症の場合には、内視鏡的第三脳室開窓術という手術を行う場合があります。

    水頭症が発症しやすくなる、または水頭症の人が他に注意すべき病気はありますか?

    脳室内に腫瘍があると、髄液の流れを妨げることがあります。特に脳脊髄液の通路が急にふさがると、急速に髄液が貯まって圧が上昇し、意識障害などが出現することがあるため、注意が必要です(閉塞性水頭症)。 水頭症と診断された場合は、通常何らかの治療を受けることになると考えられますが、経過を見ている間に、脳室がさらに大きくなって症状が悪化することがあります。

    水頭症は、どんな症状で発症するのですか?

    乳児の場合には、脳室が大きくなるに従って、頭蓋骨の縫合が開いてしまい、頭部がどんどん大きくなってきます。しかし圧が外に逃げているため、本人はにこにこしている、ということがおこります。頭蓋の縫合が閉じたあと(前頭部のぺこぺこしている大泉門という部分がなくなった後)は、脳室が大きくなると、圧の逃げ場がなくなるため、頭痛や嘔吐、意識障害(ぼうっとしている)がおこります。また、圧が高い状態が続くと、視神経が影響を受けて、視力が低下したり、失明することがあります。成人の場合では、典型的な症状として、認知症・歩行障害・失禁があります。

    水頭症の、その他の症状について教えて下さい。

    学童期では成績の悪化が、症状として現れることがあります。

    水頭症が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    脳脊髄液の通り道がふさがっていない交通性水頭症の場合、症状はゆっくりと進行しますが、通り道がふさがる閉塞性水頭症というタイプの場合は、急激に意識が悪くなり、昏睡状態になることがあります。 また、交通性水頭症の場合でも、脳室の拡大が限界を超えると、やはり急激に症状が悪化して、意識障害を起こすことがあります。

    水頭症は、どのように診断するのですか?

    頭部CTを撮影することで、脳室の拡大を確認します。 水頭症の原因として、明らかなものがない場合には、造影剤を用いたMRIなどを行って、腫瘍などの有無を確認します。

    老年期に起こる特発性正常圧水頭症では、脳室の拡大が、加齢に伴う脳の萎縮によるものだけでないことを確認するため、MRIなどで、脳の萎縮具合と左右の脳のすき間の開き具合を比べます。

    水頭症の、その他の検査について教えて下さい。

    特発性正常圧水頭症では、腰から脳脊髄液を抜くことで、一時的にでも歩行障害などの症状が改善するかどうかを確認します。

    水頭症と診断が紛らわしい病気はありますか?

    加齢にともない、脳には萎縮が起こりますが、脳自体が萎縮すると相対的に脳室が大きく見えるため、CTやMRIだけでは判断が難しいことがあります。

    水頭症の治療法について教えて下さい。

    まず脳腫瘍などによって、脳脊髄液の通り道がふさがっている場合には、これを取り除くことを検討します。小児に起こる脳腫瘍では、化学療法が第一選択になるものがあり、その場合には腫瘍に対しては手術せず、水頭症に対して下記の治療を先に行う場合があります。 脳内出血などによる閉塞性水頭症の場合には、一時的な処置になりますが、脳室にチューブを入れ、それを体外に出す、脳室ドレナージという手術を行います。長期に脳脊髄液の流れを助ける必要がある場合には、からだの中にチューブを埋め込み、脳脊髄液の流れを良くするシャント手術と、内視鏡を用いて脳室に孔を開けて、脳脊髄液が脳表に流れるようにする内視鏡的開窓術があります。

    水頭症の治療法「シャント手術」について教えて下さい。

    シャント手術は、脳室と主に腹腔と呼ばれる、腸の周りの空間をシリコンなどでできているチューブで繋ぐことで、余分な脳脊髄液を腸の周りに流し、腹膜から吸収させる手術です。チューブの途中にバルブが付いていて、脳脊髄液が流れる量を調整できるものもあります。チューブは原則として一生、体内に入っている形になります。 特発性正常圧水頭症などの場合には、脳の操作を避けて、腰椎から腹腔に脳脊髄液を流す、腰椎—腹腔シャント(LPシャント)と呼ばれる手術を行う場合もあります。

    シャント手術はほとんどの種類の水頭症に対して選択肢になります。おなかの手術をしたことがあったり、腹膜炎を患ったことがある場合には、脳脊髄液を流す先を心臓の心房や胸腔にすることがあります。

    水頭症の治療法「内視鏡的第三脳室開窓術」について教えて下さい。

    内視鏡的第三脳室開窓術は、内視鏡を使用して、脳室内の脳表面と近い部分に孔を開け、脳表を脳脊髄液が流れるようになることで、新しい流れを作ります。主に中脳水道と呼ばれる部分が詰まっていたり、狭くなったりしている場合に行うことが多いです。

    第三脳室開窓術は、中脳水道が詰まっていたり狭くなっていたりする時に行われることが多いです。からだの中にチューブなどの異物を残さないため、感染症が起こる危険性は少ないですが、開けた穴が急に塞がって意識障害を起こすなどのリスクがあります。

    水頭症の治療薬の使い分けについて教えて下さい。

    脳室ドレナージ術は、脳内出血などにより一時的に脳脊髄液の流れが悪くなっており、時間の経過で血液が吸収されたり、閉塞させているものを取り除いたりすることで、水頭症が改善する見込みのある場合に対して、一時的に行う処置です。脳室の中とからだの外が繋がった状態になるため、期間が長くなると、細菌感染を起こす危険性があるため、一時しのぎの処置です。

    水頭症のシャント手術で使用したチューブは、一生体の中に入っているのですか?

    原則として生涯入っていることになります。

    水頭症では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    水頭症に対する治療だけであれば、10日程度の入院になります。 水頭症を起こしている原因に対する治療や、水頭症によって起こった廃用(歩くのが難しいなど)に対するリハビリテーションが必要な場合には、入院期間が長くなることがあります。

    水頭症は、再発を予防できる病気ですか?

    水頭症に対して外科的治療を行ったあと、何かをする・しないで再発を予防できるということはありません。 特に乳幼児期・小児期にシャントの手術をした場合には、成長に伴い、チューブがおなか(腹腔)から抜けることがあり、それによって再発することがあります。

    水頭症に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    治療を行っていない水頭症に関しては、症状が進行して、ぼうっとしていることが増えたり、歩行が不安定になっていくことがあります。 また、脳室が既にかなり大きくなっている場合には、急に状態が悪くなることがあります。

    水頭症は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    第三脳室開窓術もシャント手術も慣れている術者が行うことで、基本的には安全な手術であり、後遺症のリスクは低いですが、脳自体に孔を開ける必要があるため、その経路に出血を起こしたりすると、後遺症が生じる可能性があります。 シャントや開窓術が有効で、数ヶ月安定して症状の改善とCTなど画像上の改善が確認できれば、基本的にはコントロールされた状態と言えます。 ただし、圧を変えられるシャントの種類によっては、MRIを撮影することで、磁場によって圧の設定が変化し、水頭症が再発することがあるため、注意が必要です。

    水頭症の治療に関して、チューブを入れるのではなく、内視鏡手術でもできますか?

    全ての水頭症が内視鏡で治療できるわけではありません。交通性水頭症の場合はチューブを入れるシャント手術を行います。 また、内視鏡手術は神経内視鏡に慣れた医師が必要であり、全ての病院で行える訳ではありません。特に緊急手術が必要な場合には、その病院で得意な方法で行う方がよいと考えられます。

    水頭症の場合、頭の手術はいやなので、脳室腹腔シャントより腰椎腹腔シャントの方がいいのですが。

    交通性水頭症では腰椎腹腔シャントを行うこともありますが、脳室腹腔シャントと比べると、閉塞やシャントが上手くはたらかないという合併症が多いとされています。また閉塞性水頭症の場合には、腰椎腹腔シャントはできません。

    水頭症治療で使用したシャントの、チューブが入っているところが膨らんでいますが、大丈夫でしょうか?

    高齢の方や小児では、皮膚が薄いため表面からシャントのチューブが通っている部分が分かる方がいます。これ自体は問題にはなりません。 一方、皮膚が極端に薄くなっていて、後頭部などの体重がかかる部分では、皮膚が赤くなり痛みを伴ってくることがあります。このような場合には感染の危険性や、皮膚が薄くなりすぎてチューブが露出することがありますので、担当医に相談してください。

    水頭症のシャント手術後は何日くらいで入浴できますか?

    創の状態にもよりますが、概ね4~7日目くらいで入浴していただくことが多いようです。

    水頭症の手術後、MRIは撮影しても大丈夫でしょうか?

    第三脳室開窓術の場合は特に支障ありません。 シャント手術を受けられた場合には、入っているチューブの種類によっては、MRIの磁場で圧の設定が変わってしまうことがあり、検査後に確認が必要です。担当医にご確認ください。

    水頭症の治療において、脳室腹腔シャントのときは丸坊主になりますか?

    部分剃毛でもできますが、各病院によって方針がことなります。

    水頭症のシャント手術後、シャントチューブに沿って赤くなっていますが、大丈夫でしょうか?

    手術後数日は、皮膚の下のチューブを通した周囲が赤くなっていることがあります。 抜糸も終わって、特に問題ないと思っていたのに、遅れて赤くなってきた場合には細菌感染を起こしている可能性がありますので、至急担当医に相談してください。