ゆうきょくさいぼうがん
有棘細胞がん
皮膚がんの一種で、皮膚のうち有棘層と呼ばれる部分にできるがんのこと
4人の医師がチェック 110回の改訂 最終更新: 2025.11.30

有棘細胞がんの基礎知識

POINT 有棘細胞がんとは

皮膚は表皮(外側)と真皮(内側)の2つからなります。さらに表皮は外側から角質層、顆粒層、有棘層、基底層に分かれます。有棘細胞がんは有棘層の細胞が癌化したものです。長期に大量の紫外線を浴びることで発生する危険性が上がることが分かっています。有棘細胞がんができると、硬いしこりを触れたり、表面がカサカサになったりし、進行すると皮膚がえぐれる(潰瘍化)こともあります。ダーモスコピーや病理検査(腫瘍の一部を切り取り顕微鏡でみる検査)で診断が行われ、画像検査(CT検査やMRI検査)でがんの広がりを確認します。根本的な治療は手術で病気の部分を切り取ることになりますが、それが難しいときには放射線や抗がん剤で治療が行われます。皮膚に該当する症状があって、心配な人は皮膚科を受診してください。

有棘細胞がんについて

  • 皮膚がんの1つで、扁平上皮から発生する
    • 皮膚は表皮(外層)と真皮(内層)とよばれる2層構造になっており、表皮は外側の層から順に角質層、顆粒層、有棘層、基底層にわかれている
    • 有棘細胞がんは有棘層の細胞が悪性化してできたもの
  • 有棘細胞がんの前がん病変日光角化症と呼ぶ
  • 表皮内に留まっている有棘細胞がんをボーエン病と呼ぶ
  • 日光角化症ボーエン病→有棘細胞がんの順に進展していくと考えられている
  • 長期的に紫外線を浴びることで起きるものが多い
  • その他の原因
    • 昔に負ったやけどや怪我の瘢痕(はんこん:きず痕)
    • 慢性皮症:長年にわたる炎症が原因となる
    • 長期間にわたる褥瘡(とこずれ)
    • 放射線療法の痕
  • 本邦での罹患者数は、2007年は人口10万人に対して2.5人であったが、2016年には10万人に対して10人と増加した
  • 高齢者・男性に多い
  • 進行してリンパ節転移すると命に関わることもある
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有棘細胞がんの症状

  • 見た目の特徴
    • 比較的大きく、ゆっくりと大きくなる
    • 硬い
    • 不揃いな形
      • 大きくなるとカリフラワーのような形になる
    • 堤防状に周囲が盛り上がる
    • 表面がかさかさ(角化性)になる
    • 潰瘍ができる
    • 細菌が入りこんで二次感染を起こすと悪臭を放つ
症状の詳細

有棘細胞がんの検査・診断

  • ダーモスコピー:精密に拡大視できる医療用の拡大鏡で皮膚の状況を見る
  • 組織診:皮膚を一部切り取り、腫瘍良性か悪性か調べる
    • 腫瘍の一部を切りとり顕微鏡で調べる
  • 画像検査:転移をしていないか、他のがんはないかなどを調べる
    • レントゲンX線)/CT検査:放射線を利用した検査
    • MRI検査:磁器を利用した検査
    • 超音波(エコー)検査
  • 画像検査で、病期ステージ)を推定していく
検査・診断の詳細

有棘細胞がんの治療法

  • 外科手術:腫瘍の周囲に少し余裕をもった範囲で取りきる
  • リンパ節転移が疑われればリンパ節を取る手術をすることもある
  • 化学療法抗がん剤による治療
    • がんが進行して全身に広がった場合に行われる
    • 顔や首など目立つ部位にがんがある場合、手術の傷跡をなるべく小さくするために、抗がん剤で小さくしてから手術をすることもある
  • 凍結療法
    • 体への負担が少なく、高齢者や持病があり手術が難しい場合に行われる
    • 根治的治療ではない
  • 放射線療法
    • 手術で取りきることが難しい場合などで使用される
    • 根治的治療ではない
治療法の詳細

有棘細胞がんに関連する治療薬

その他の抗がん性抗生物質

  • 細胞の増殖に必要なDNAの合成を阻害するなどにより抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAやRNAの合成が必要となる
    • 本剤はDNAに作用しDNAの複製を阻害するなどして抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は土壌などに含まれるカビなどの微生物由来の薬剤であり抗がん性抗生物質と呼ばれる
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有棘細胞がんが含まれる病気

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