まんせいすいえん
慢性膵炎
膵臓が作る消化酵素の影響で膵臓自体がダメージを受ける病気。進行すると膵臓の消化酵素やホルモンが適切に放出できなくなる
9人の医師がチェック 87回の改訂 最終更新: 2023.02.09

慢性膵炎の基礎知識

POINT 慢性膵炎とは

慢性膵炎は膵臓が作る消化酵素の影響を受けて膵臓自体に慢性的な炎症が起こることで、細胞が変性し線維化や石灰化などが生じる病気です。進行すると膵臓の消化酵素やホルモンが適切に放出できなくなります。主な症状は背中の痛み・みぞおちの痛み・吐き気・嘔吐・食欲低下・下痢などです。飲酒したり脂っこいものを食べたりすると症状が出やすいです。症状や身体診察に加えて、血液検査や画像検査を用いて診断されます。膵臓に起こった炎症を抑えて負担を軽くする目的に薬物治療が行われます。また、薬物治療に並行して安静・禁酒・低脂肪食の摂取を行うことも重要です。慢性膵炎が心配な人や治療したい人は、消化器内科を受診して下さい。

慢性膵炎について

  • 膵臓が作る消化酵素の影響を受けて膵臓自体に慢性的炎症が起こることで細胞が変性線維化や石灰化などが生じる病気
    • 進行すると膵臓の消化酵素やホルモンが適切に放出できなくなる
  • 主に大量の飲酒や過剰な自己免疫が原因で起こる
    • 男女別に見ると、女性では原因の分からない特発性慢性膵炎が多い
    • そのほか、胆石によって膵液の流れが悪くなって膵炎になることもある
  • 膵石という石が膵管や膵臓内にできることがある
    • 膵液がうっ滞することで膵石ができると考えられている
    • 膵石があると膵液の流れを滞らせてしまうことがある
    • 膵液がうっ滞する⇨膵石ができる⇨さらに膵液がうっ滞する、といった悪循環に至ることがある
  • 慢性膵炎は膵がんのリスクを上げるとされている

慢性膵炎の症状

  • 6か月以上の間、上腹部から背部痛が続く
    • 飲酒や脂肪食の後に痛みが強くなる
    • 痛みは前かがみになると軽くなりやすい
  • 消化酵素が十分に出ないため、体重減少や下痢が起こる
  • 膵炎が進んでインスリン血糖値を下げるホルモン)が出なくなると糖尿病になる
  • ほかの症状
    • 吐き気
    • 嘔吐
    • 食欲不振
    • 腹部膨満感(お腹が張る)  など

慢性膵炎の検査・診断

  • 血液検査:膵臓の機能などを調べる
  • 画像検査:膵炎の原因を調べたり、膵臓の腫瘍がないかなどを調べる
    • 腹部CT検査
    • 腹部超音波エコー)検査
    • 腹部MRI(MRCP)検査
  • ERCP内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査):膵液の流れに影響を与える、結石や腫瘍がないかを調べる

慢性膵炎の治療法

  • 膵臓の炎症の程度として、血液検査の値・画像検査の結果・疼痛・飲酒の有無・合併症の有無から重症度をみて、外来治療か入院治療かを判断する
  • 基本的な治療
    • 禁酒
    • 脂肪を制限した食事
    • 鎮痛薬
  • 消化不良の症状がひどい場合は消化酵素を補充する
  • インスリンが不足している場合はインスリン治療を行う
  • 膵石など膵臓の器質的な異常に対しては、以下の様な治療を行う場合もある
    • 衝撃波による石の破砕 (ESWL)
    • 内視鏡治療
    • 手術

慢性膵炎に関連する治療薬

膵炎治療薬

  • 膵液に含まれるタンパク分解酵素を阻害し膵臓の炎症による腹痛、吐き気などを改善する薬
    • 膵臓から出される膵液には膵臓自体を消化してしまう作用もあり、これにより膵臓に炎症がおこる場合もある
    • 膵液にはタンパク分解酵素などが含まれていてこれが膵臓に炎症をもたらす
    • 本剤はタンパク分解酵素阻害作用をあらわす
  • 本剤の中には播種性血管内凝固などに対して保険承認されているものもある
膵炎治療薬についてもっと詳しく

慢性膵炎のタグ

慢性膵炎に関わるからだの部位