めとへもぐろびんけっしょう
メトヘモグロビン血症
赤血球の性質が変化することで、全身に酸素が十分に届けられず酸素不足を引き起こす状態
5人の医師がチェック 39回の改訂 最終更新: 2018.02.06

メトヘモグロビン血症の基礎知識

POINT メトヘモグロビン血症とは

赤血球は血液に含まれる細胞であり、赤血球中のヘモグロビンは酸素を運搬する役割を担っています。メトヘモグロビン血症とは、赤血球中のヘモグロビンの1%以上が、異常なヘモグロビンであるメトヘモグロビンに変化してしまった状態を指します。メトヘモグロビン血症の原因としては、遺伝によるものと薬物・毒物中毒によるものがありますが、遺伝性のメトヘモグロビン血症は非常に珍しい病気です。メトヘモグロビン血症の症状としてはチアノーゼといって、皮膚や粘膜が青紫色になることが特徴的です。中毒で急激に起きたメトヘモグロビン血症では、頭痛や呼吸困難、意識障害などが出て、死亡する場合もあります。診断は血液ガス分析という採血検査で行います。治療はメチレンブルーという薬剤を使用します。メトヘモグロビン血症が心配な方や治療したい方は救急科を受診してください。珍しい病気ですが、遺伝性のメトヘモグロビン血症が心配な方や治療したい方は血液内科や小児科を受診してください。

メトヘモグロビン血症について

  • 赤血球の性質が変化することで、全身に酸素が十分に届けられず酸素不足を引き起こす状態
    • ヘモグロビンの2価の鉄イオンが酸化されて3価の鉄イオンに変化してしまうことで起こる
    • 異常ヘモグロビン血症の1つで、上の変化で生じるメトヘモグロビンという物質が体内で増えてしまっていることが原因
    • 正常の人もごく少量(赤血球の1%以下)程度でメトヘモグロビンを持っている
  • 遺伝による先天性の場合もまれにあるが、多くの場合は薬物中毒が原因となる
    • 原因となることのある主な薬剤
      • アセトアニリド
      • フェナセチン
      • スルファミン  など

メトヘモグロビン血症の症状

  • 主な症状:メトヘモグロビンは酸素との結合能力が低下しているため、全身に酸素を運ぶことができなくなり酸欠状態になる
    • チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる)
    • 頭痛
    • 呼吸困難
  • メトヘモグロビンの濃度によって症状が変わり、15%以上になると酸欠の症状が表れ、60%を超えると命に関わると言われている

メトヘモグロビン血症の検査・診断

  • 血液ガス分析検査
    • 血液検査により酸素や二酸化炭素、メトヘモグロビンの濃度を計測する
    • 動脈の血液を採取すると、本来鮮やかな赤い色の血液のはずが茶色く濁った色になっている
    • 動脈血は手首あるいは足の付け根の動脈から採血するのが原則

メトヘモグロビン血症の治療法

  • 確立した治療法はない
    • 重症例ではメチレンブルーの使用を行う
      • メチレンブルーは酸化してしまったヘモグロビンを元に戻す効果がある
  • 原因となる薬剤や化学物質への接触を避けることも重要

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