卵巣がんのステージ(病期分類)・生存率について
卵巣がんの
1. 卵巣がんのステージ
卵巣がんのステージは4つに大別されます。主に、
【卵巣がんのステージとその内容】
- ステージI(I期)
- もっとも早期の段階。がんは
卵巣 内に留まっている状態
- もっとも早期の段階。がんは
- ステージII(II期)
- がんは卵巣の外に広がっているものの、卵巣周りまでで留まっている状態
- ステージIII(III期)
- がんがお腹全体に散らばっている状態、もしくはお腹の中心にある血管(
大動脈 ・大静脈)の周りのリンパ節 に転移 をしている状態
- がんがお腹全体に散らばっている状態、もしくはお腹の中心にある血管(
- ステージIV(IV期)
- もっとも進行した段階。他の臓器(肝臓や肺など)に転移をしたり、
胸水 (肺の周りに溜まった水分)からがん細胞が見つかる状態
- もっとも進行した段階。他の臓器(肝臓や肺など)に転移をしたり、
ステージにはこの後説明する「治療法」と「生存率」と関係があります。
2. 卵巣がんのステージと治療法について
ステージを決める目的の1つが、最適な治療法を選ぶことです。ここでは、それぞれのステージごとの治療法について説明します。 なお、手術や
ステージI
ステージIは最も早期の段階ですが、その中でも程度に差があり、さらに細かく3段階(IA、IB、IC)に進行度が分かれます。それぞれの段階で治療法が異なります。がんの
基本的に、手術では卵巣と子宮を取り除きます。しかし、ステージIで悪性度が低く将来の妊娠を希望する人は、条件がそろえば卵巣と子宮を残すことができます。条件の詳しい内容は「こちらのページ」を参考にしてください。
ステージII、III
ステージII、IIIの人にはまず手術が行われ、卵巣と子宮が摘出されます。転移が見つかった場合は、可能な範囲で取り除かれます。手術後、「再発予防」や「残ったがん細胞の死滅」を目的とした抗がん剤治療が行われます。ステージIの人とは異なり、子宮や卵巣を残すことは原則として検討されないことが多いです。
ステージIV
ステージIVはがんが最も広がった状態ですが、その中でも状態によって治療方針が2つに分かれます。 手術でがんが取り除ける可能性が高い人にはステージII、IIIの人と同様にまず手術が行われ、その後抗がん剤治療が行われます。一方で、手術でがんが取り切れないと想定される人にはがんをできるだけ小さくする目的で抗がん剤治療が行われ、がんが十分に小さくなったところで手術が行われます。
3. 卵巣がんのステージと生存率(予後)について
卵巣がんのステージごとの
【卵巣がんのステージごとの5年生存率(実測生存率:2014年-2015年診断例)】
ステージ | 5年実測生存率 |
ステージI | 88.7% |
ステージII | 74.9% |
ステージIII | 45.1% |
ステージIV | 27.1% |
生存率はあくまで過去の治療実績の結果なので、現在の治療を反映しているものではありません。医療は日々進歩しているので、現在の治療が過去の治療の結果を上回る可能性は十分ありえます。生存率はどうしても気になる数字ですが、とらわれすぎないようにしてください。先行きの不安や疑問はお医者さんや医療者に伝えて、少しでも前向きになれることに目を向けるのが大切です。
【参考文献】
・がん情報サービス「がんの統計’24」
・「卵巣がん治療
・「がん診療レジデントマニュアル(第7版)」(国立がん研究センター内科レジデント/編)、医学書院、2016年
・「産婦人科研修の必修知識2016-2018」、日本産科婦人科学会、2016年
・NCCN ガイドライン 卵巣がん