あいじーえーじんしょう
IgA腎症
腎臓の糸球体という部分に炎症が起きることで腎機能が下がってしまう。IgAというタンパクが糸球体に付着して炎症を起こすことが原因
16人の医師がチェック 67回の改訂 最終更新: 2018.02.09

Beta IgA腎症についての医師コメント

腎臓の働き
腎臓は全身の血液を濾過して不要なものを尿として捨てる臓器です。
血液の量を管理するために血液量に応じて尿を増やしたり減らしたりできます。
圧も感知するので、血圧の調整も行います。

血尿、タンパク尿の意味
濾過の仕事は腎臓にある糸球体という濾過装置が行います。これが1つの腎臓に100万個あります。濾過はいらないものを捨てるのが仕事ですから、必要なものはもれないようになっていますが、このフィルターの調子が悪いと血液やタンパクがもれてしまいます。これが腎炎の状態です。このフィルターの部分に体の免疫物質がくっついてしまって、悪さをしてしまいます。

血尿、タンパク尿の評価
糸球体のもれやすさでは血液(血尿)→タンパク(タンパク尿)の順番で、タンパク尿が出るとフィルターの調子がさらに悪いというわけで、気をつけないといけません。
ちなみにこの血尿は本来漏れてこないところを出てきたものなので、赤血球の形がおかしくなっています。これを変形赤血球というふうに呼んでいて、血尿の中でも変形赤血球が30%以上の場合は、糸球体から出てきた血尿であるというふうに考えます。
タンパクが漏れていた場合に考えるのは、このタンパクの漏れがどの程度かということです。テープで+とか3+とか言うのはあくまで色を見た判定であって正確ではありません。
尿タンパク/尿クレアチニン比(尿のタンパク量を尿クレアチニンで割ったもの)を使って評価します。尿クレアチニンというのは尿の濃さを反映するので、これで割ることで尿の濃い薄いの影響を考えなくてよくなります。この尿タンパク/尿クレアチニン比が0.2以上(普通は0.15以下です)の時は腎炎として積極的な治療を考えます。ただすぐに悪くなることは少なく、逆に自然とよくなることもあるので、まずこのタンパク尿が持続するのかを見ます。3ヶ月程度持続するようなら腎生検を行います。0.5以上出ている場合や腎障害が強い場合は、もっと早くに腎生検を行います。

腎生検
腎生検は腎臓に針を刺して糸球体の状態を見る検査です。糸球体を20-40個程度取って、その変化を見て診断します。大人の点滴に使うくらいの針を2-3回程度腎臓に刺します。糸球体自体は100万個あるわけですから、数十個取っても腎機能にはほとんど影響はありません。ただ腎臓は血液を濾過しているだけあって血流がとても多いのでまれに出血して困ることがあります。それでも頻度は高くないので、腎生検が必要な段階になれば生検を行います。

腎生検の結果
糸球体がどのような障害を受けているか、それが全体の糸球体の何割になるかを評価して重症度を分類します。これは国際的な分類があるのでこれに従って評価します。

腎生検後の治療
上記の結果に応じて、治療は決まります。
一般的にはステロイドパルス(ステロイドを大量に使う治療)などになることが多いです。これはステロイドを大量に使って免疫学的な異常をリセットするような治療になります。副作用がご心配でしょうが、短期的な使用ではそれほど大きな副作用はないことが多いです。もちろん副作用対策などの治療も合わせて行います。
その後はステロイドを内服治療にして約2年間様子を見ていきます。
これでもよくならない場合は再生検をしたり、血圧をコントロールすることでタンパク尿を減らしたりする治療をします。元の腎炎の状態にもよりますが、比較的治療成績はいいです。

予後
残念ながら一部には腎不全まで至る方がいます。
小児では15年で10%が腎不全になったとの報告がありますが、治療法も変わってきてますし一概には言えません。
実感としてはそれほど多い印象はありませんが、しかしタンパク尿が残ったりして、長くおつきあいしないといけない子は出てきます。
上に書いたような血圧をコントロールする薬は妊娠したときに使用できないので、特に女の子に関しては、小児科から内科へ移ってのフォローが大事になります。


匿名協力医師
病気や薬の豆知識
2016.12.01

IgA腎症は基本的に無症状であるため、学校検尿などで見つかります。しかし検尿検査は陽性であったとしても全員がIgA腎症なわけではなく、病気でない血尿(無症候性血尿といいます)のことが圧倒的に多いです。まずは医師の診察を受けて実際に腎炎であるかどうかを診てもらってください。また腎炎を疑われる状態であっても全員が治療を要するわけではありません。実際に腎生検まで行う症例はさらにその中の一部です。


匿名協力医師
患者さんへのメッセージ
2015.03.18

気づかないうちに腎不全が進行する病気の代表例です。多くは蛋白尿、血尿といった検査から発見されます。IgA腎症の進行の仕方(=悪くなるスピード)は非常に多様であり、対応が難しい場合もあります。

蛋白尿、血尿は症状として何ともないかもしれませんが、大切な体からのサインであることを分かっていただき、早期に腎臓内科を受診することをお勧めします。腎生検は、IgA腎症か?、IgA腎症とすれば「今どんな状態にあるのか?どんな風に悪くなりそうなのか?」ということがわかるとても大切な検査です。治療方針もそこから決まってくる要素が多いので、主治医から十分説明を聞いて、検査を受け、治療法を選択していくことをお勧めします。


匿名協力医師
患者さんへのメッセージ
2015.03.09

MEDLEYニュース新着記事