Beta 側弯症のQ&A
側弯症の原因、メカニズムについて教えて下さい。
側弯症の多くは原因のわからない特発性側弯症と呼ばれるものです。その多くは思春期特発性側弯症といわれ、11才以上の思春期に発症する側弯症であり、女子に多くみられます(約85%)。3歳未満で発症するものは乳幼児側弯症、3歳から10歳で発症するものは学童期側弯症とよばれます。家族内発生が多いことから何らかの遺伝子の関連が疑われていますが、現在も研究中です。背骨の側方弯曲、椎体あるいは椎間板の楔状変形、椎体の回旋がみられます。その他、先天性の椎体変形を伴う先天性側弯症、神経線維腫症やマルファン症候群などの疾患に合併する症候性側弯症などがあります。
特発性側弯症は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?
中学生の女子の約1%が側弯症との報告があります。
特発性側弯症は、どんな症状で発症するのですか?
背骨が変形する病気です。進行すると服を着ていてもわかりますが、軽度の場合には裸になっても気づかないことがあります。肩の高さの左右差、肋骨や肩甲骨の出っ張りの左右差、ウエストラインの左右差、前屈みになった際の背中や腰の盛り上がりの左右差が参考になることが多いです。
側弯症が重症化すると、どのような症状が起こりますか?
一般に無症状のことが多いです。側弯が進行し高度な胸郭(肺や心臓をつつむ肋骨・胸椎・胸骨につつまれた空間)の変形が生じた場合には、呼吸機能や心機能に障害が出ることがあります。
特発性側弯症は、どのように診断するのですか?
前述のような背部の左右差の確認を確認した後、レントゲン撮影により確定診断します。無症状で思春期に発症することが多いため、小中学校での検診を行っている地域も少なくありません。早期発見が大切ですので、疑わしい場合には専門医受診をおすすめします。
特発性側弯症の治療法について教えて下さい。
一般的に側弯症が自然治癒することはありませんので、定期的な受診が大切です。また進行予防の方法として効果がわかっているものは装具治療のみです。 30°未満のカーブであればレントゲンでの定期検査、30°-50°の場合には装具治療、50°以上の場合には手術治療を選択されることが多いです。 乳幼児側弯症では自然寛解することもありますが、若年発症のほうが急速に進行する場合がおおく注意が必要です。
特発性側弯症の予防法はありますか。
現在わかっている発症予防法はありませんので、早期発見、また発症した場合には定期的な受診が重要です。ただし、側弯が進行する確率は一般的に低く、また軽度の側弯であれば将来的にも症状を出さないことが多いため日常生活で気にしすぎる必要はありません。
特発性側弯症は大人になっても進行しますか。
一般に、骨成長が終了すれば側弯の進行も止まることが多いですが、稀に大人になってからも進行する場合があります。また、20°-30°以上のカーブが残存している場合、将来的に腰痛などの原因になることがあります。
特発性側弯症の装具治療はどのような場合に行いますか。
一般的には変形が30°-50°程度で、骨の成長が終了する前に行います。骨成長が終了したあとでは装具治療は無効であり、変形矯正には手術が必要になります。
特発性側弯症の手術治療はどのような場合に行いますか。
一般的に、50°以上のカーブで骨の成長がある程度終了した後に行います。進行が急激な場合には骨成長の終了を待たずに手術を行うこともあります。背中側から行う後方手術を選択する場合が多く、背骨にインプラントといわれる金属のボルトやフックを設置してロッドと呼ばれる棒で連結し、変形を矯正した状態で固定します。最近ではインプラントの開発がすすんでおり、矯正率や固定性があがってきています。
側弯症の手術をすると背中が曲げられなくなりますか。
固定した範囲は曲げられなくなりますが、一般に背骨の可動域は頚椎や下位腰椎で負担する部分が多いため、術後もある程度期間がたてばスポーツをやっている子もたくさんいます。