Beta 流行性角結膜炎(はやり目)のQ&A
眼を触らない
眼を触った場合はせっけんでしっかり手を洗う
プールに入らない
お風呂は家族の中で最後に入る
タオルを共用しない
患者が子どもなら学校や幼稚園を休ませる
まず、医師の診察を受けて出席停止と指示を受けた場合はすぐに学校へ連絡する
その際は必ず診断名と出席停止の指示を受けたことを伝える
学校から送付される「傷病証明書(傷病証明書)」を担当医の病院に提出し、記入してもらう
記入してもらった傷病証明書は登校許可が出て初めての出席日に提出するか、それまでに学校に提出する(学校によって異なる可能性があるので、担任の先生に確認する)
流行性角結膜炎(はやり目)の予防をする上で何に気をつけたらよいですか?
流行性角結膜炎(はやり目)は感染力が強く、感染した人が周囲にいる場合は感染を広げないためにも予防が重要です。流行性角結膜炎の予防に重要なことを、「感染している人が気をつけるべきこと」と「感染した人が周りにいる人が気をつけること」にわけて説明します。
◎感染している人が気をつけること
◎周りの人が気をつけること
流行性角結膜炎に感染した人も周りの人も正しい知識を身につけて、予防に努めるようにしましょう。
流行性角結膜炎(はやり目)に感染した場合、学校は出席停止になりますか?
はやり目に感染した場合、学校医やその他の医師が登校許可を出すまで登校することはできません。なお通常の欠席とは異なり、学級閉鎖や忌引きと同じ扱いになります。そのため、以下の手続きを踏む必要があります。
◎はやり目感染した場合の手続きの方法
なお、プールへの入水は医師の許可が出るまで避けるべきとされています。
流行性角結膜炎(はやり目)に感染した場合、職場は出勤停止になりますか?
学校の場合は学校保健安全法と呼ばれる規則で出席停止が決まっています。
一方で、会社の場合は法規によって決められてはいませんので、出勤停止の判断は職場によって異なります。
ただし、症状がひどく周囲への感染リスクが高い場合は、医師から出勤を避けるよう指示・助言があることもあるので、職場の上司に相談すると良いでしょう。
もし出勤する場合には、感染の恐れがあるためできるだけ目をこすらない、手洗いはこまめにする、電話などの共有する物品の消毒は必ず行うなどの感染対策をとるようにしましょう。
流行性角結膜炎について教えて下さい
アデノウイルスによって引き起こされる結膜炎で、急性濾胞性結膜炎という分類になります。
人から人へ手指を介して感染すると言われています。感染力がとても強く、日常生活でよく触るような場所でも生き延びることができるため、家庭内感染を起こすことが多いです。また、短期間に集団的に発生するため、学校や会社で集団感染することもあります。
流行性角結膜炎は他人にうつる病気ですか
うつります。
手指を介した感染が最も多く、感染力もとても強いので十分注意する必要があります。潜伏期間は約1週間から2週間です。他者への感染を避けると共に、体力を落とさないためにも、登校、勤務は控えて自宅療養することが望ましいです。
流行性角結膜炎の人が注意すべきことはありますか
他者への感染に配慮してください。
手指を介する感染が最も多いので、手洗いは不可欠です。流水のみでもいいと言われていますが、石鹸15秒と速乾性手指消毒薬も効果があると言われています。
身近な人が感染したら、目を触る前には必ず手洗いをするように心がけましょう。コンタクトレンズ装用者が感染したら、医師の許可が出るまで装用を中止してください。
流行性角結膜炎の人が他に注意すべきことはありますか
温泉や、プールは集団感染の原因になるので、避けてください。
目の感染なので体は元気ですが、感染源になってしまうため、外出することは控えましょう。しっかり休養をとって、体力を落とさないようにしましょう。
同居しているご家族がいらっしゃる場合は、患者さんとタオル、洗面用具は別にしましょう。共用すると家族内感染のリスクとなります。
流行性角結膜炎はどんな症状で発症するのですか。
典型的な症例では目やに、異物感、涙、充血、眼痛などがみられます。
発症後、5日から8日が最も強くなり、以後、症状は速やかに落ちついていきます。
発症初期には、点状表層角膜症といって、しばしば黒目の部分に傷がつき、ごろごろした違和感があります。充血以外にも、結膜下出血といって、白目の部分に絵の具で塗られたような出血が見られることがあります。
また、耳の前にある耳前リンパ節の腫れを伴うことも多いです。
流行性角結膜炎が重症化するとどうなりますか
点状表層角膜症が悪化すると疼痛により開瞼が困難になり、涙が出てきます。
炎症が強いと発症後2週間から3週間で黒目の部分(角膜)に炎症が残り、混濁が残ります(角膜上皮下混濁)。羞明といってまぶしく感じたり、見えにくくなり、視力低下の原因になりうります。
また、眼瞼結膜に偽膜を形成すると点眼薬の浸透が悪くなり、症状が長期化することが多くなります。局所麻酔薬の点眼薬をし、セッシや綿棒で切除が必要になります。
そのため、眼科を受診し、しっかりとした治療が必要になります。
流行性角結膜炎はどのように診断しますか
一番使用されているのは免疫クロマトグラフィー法になります。これは、アデノウイルスの迅速診断キットにも使用されており、15分で結果が出ます。日常の診断時の補助検査として使用されています。しかし、型の種類まで判定できないことに加え、感度が60%なので、陰性の場合でも、アデノウイルスの感染は否定できません。この検査が陽性であれば確定診断となり得ます。
流行性角結膜炎の他の診断方法について教えて下さい
細隙灯顕微鏡検査といって、眼科専用の顕微鏡で、まぶたの後ろの眼瞼結膜、白目の眼球結膜、黒目の角膜などを観察します。
他にもアデノウイルスの存在を把握する検査もあります。
PCR法を用いたウイルス抗原検査法では、結果が出るのに1-2日かかります。細胞培養による分離同定法では型によっては増殖しにくいため、結果がすぐには得られません。2週間ほどかかります。
流行性角結膜炎と診断が紛らわしい病気はありますか
急性濾胞性結膜炎が見られるものにクラミジア結膜炎と、単純ヘルペスウイルス結膜炎があげられます。
クラミジア結膜炎は片眼性で2週間以上続く亜急性濾胞性という種類の結膜炎があり、尿道炎、子宮頸部炎などを患っていることが多いため、それらの症状と比べて、診断します。単純ヘルペスウイルス結膜炎は臨床的に区別が難しく、PCR法を用いたウイルス抗原検査法などの精査が必要となります。
流行性角結膜炎の治療法について教えて下さい。
軽傷例では自然治癒することもあります。
アデノウイルスに対する特異的治療薬として適応が認可された薬剤はありません。治療期間の短縮や眼痛、異物感、涙などの自覚症状の軽減のために治療を行います。混合感染予防のため、抗菌薬の点眼を使用します。重症例には炎症を取り除くために抗炎症薬の点眼を使います。
眼瞼結膜に偽膜を形成した例に対しては点眼薬の浸透が悪くなり、症状が長期化することが多くなるので、局所麻酔薬の点眼薬を使用し、セッシや綿棒での切除が必要になります。切除後に抗菌薬の点眼と、抗炎症薬の点眼を使用します。
流行性角結膜炎は完治する病気ですか。
基本的に完治します。
しかし、自覚症状が改善したからといって治療の中断を行うと、角膜上皮下混濁が残ってしまうことがあります。数年間混濁が取れないということもあります。混濁が強くなると、光が眩しく感じたり、視力低下の原因になりますので、自己判断で点眼を中断せず、医師の診察を受けたほうが良いです。
流行性角結膜炎の消毒はどのようにすればいいですか。
洗浄できるものは流水でウイルスを洗い流すことが基本です。
洗い流せないものは薬剤を浸したディスポーザブルタオルでの拭き取りになります。
0.04%グルタラー ルやホルムアルデヒドが診療器具には最も有効といわれています。
家庭や、学校などではミルトンⓇなどの0.05-0.1%の次亜塩素酸ナトリウム、イソジンⓇなどの1-5%ポビドンヨードを使用します。また、消毒アルコールでは75%以上の濃度のアルコールは有効と言われているので、高濃度アルコールで拭いて、乾燥させるのも有用と考えられています。