ふぉるくまんこうしゅく
フォルクマン拘縮
腕の骨折や打撲、圧迫などが原因で、肘から手首の間(前腕)の血流が悪くなり、手や指の筋肉・神経に重大な障害が生じること。
6人の医師がチェック 82回の改訂 最終更新: 2022.03.11

フォルクマン拘縮の基礎知識

POINT フォルクマン拘縮とは

肘や前腕の骨折などにより血管が圧迫されると、骨折部いより先端の手や指が固まってしまったり、感覚がなくなったりすることがあります。これをフォルクマン拘縮と呼びます。症状は一時的なこともあれば後遺症として残ってしまうこともあります。フォルクマン拘縮が疑われる場合、診察やレントゲン検査が行われます。治療としてはリハビリテーションを行いますが、一度起こったフォルクマン拘縮を元通りにするのは困難です。フォルクマン拘縮を予防するためには、骨折などの怪我をした際に速やかに血流回復の治療を行うことが大事です。フォルクマン拘縮になることが心配な方、フォルクマン拘縮でお困りの方は整形外科を受診してください。フォルクマン拘縮になることが心配されるような大怪我であれば、一刻も早く救急で受診してください。

フォルクマン拘縮について

  • 腕の骨折や打撲、圧迫などが原因で、手や指が動かせなくなってしまった状態
    • 筋肉が腫れてしまうことで血管に圧力がかかり血流が悪くなる
    • フォルクマン(Volkmann)拘縮では、特に手首を曲げるために使う筋肉が、機能しなくなったり痛んだりする
  • 病気のメカニズム
    • 上腕あるいは前腕の骨折や打撲、圧迫などによって、筋肉の腫れが極めて強くなる
    • 腫れの圧力を受けて指先の方への血流が途絶えてしまう
    • 血流が受けられない組織は、酸素が不足して壊死してしまう
    • 特に手首を曲げる時に使う筋肉にダメージが出てしまう
  • 主な原因
    • 上腕骨顆上骨折(肘の骨折)
    • 腕が強い力で挟まれる
    • きついギプスをつけたままでいる
    • 肘の脱臼
    • 熱傷 など

フォルクマン拘縮の症状

  • 骨折などに伴い、はじめは肘や腕が強く腫れて痛む
  • 徐々に前腕に負担がかかり、血流が悪くなると以下の様な症状が出現する
    • 指が曲がった状態になり、他の人が伸ばそうとしても伸ばせない
    • 指がしびれる
    • 手や腕を固定して安静にしても病気は進行する
  • そのまま進行すると完全に手や指が曲がったまま固まってしまい、元に戻らなくなる
  • 血流が途絶えてしまった時に現れる危険な症状は以下のものが代表的である
    • 腫脹(腫れ)
    • チアノーゼ(酸素が足りないため皮膚や粘膜が紫色になること)
    • 痛み
    • 麻痺して動かない
    • 異常な知覚
    • 脈が触れない など

フォルクマン拘縮の検査・診断

  • 腕の診察で診断することが多い
  • 骨折が原因となっている場合は、レントゲン検査(X線写真)で骨折の状況を確認する
  • 血流の途絶えてしまった症状がないかを、皮膚の色や脈の触れ方などで確認する
    • 血流が途絶えてしまったと判断されたら、可及的速やかに手術を行う

フォルクマン拘縮の治療法

  • 筋肉の腫れによる血流遮断を素早く解除するすることが重要
    • 上腕骨の骨折が原因であれば、骨を元通りの位置に固定する
    • 筋肉の腫れが強すぎる時は、筋膜を切開して圧力が血管にかかりにくくする
    • ギプスがきつい場合は、ゆるく作り直す
  • 一度手や指が固まってしまうと、基本的に元通りには治らない
    • 固まってしまった後も動きの改善を目的とした手術が行われることもあるが、完全に元の動きを取り戻すことは困難
  • 前腕のけがで腫れや痛みが強い場合には、早く病院に行くことが重要
    • 血流が途絶えてしまってから6-8時間ほどが治療効果が望めるリミットと考えられている

フォルクマン拘縮のタグ

フォルクマン拘縮に関わるからだの部位