きんきょうちょくせいじすとろふぃー
筋強直性ジストロフィー
筋ジストロフィーの中でも筋肉が収縮するとすぐに緩めることができない筋強直現象(ミオトニー)が特徴の病気。
8人の医師がチェック 86回の改訂 最終更新: 2017.07.21

Beta 筋強直性ジストロフィーのQ&A

    筋強直性ジストロフィーの原因、メカニズムについて教えて下さい。

    原因遺伝子の違いにより1型と2型の2つにわけられますが、殆どが1型です。DMPKと呼ばれる遺伝子の中で3塩基繰り返し配列が異常に伸びてしまっていることが原因とされていいます。

    筋強直性ジストロフィーは、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    成人で最も頻度の高い遺伝性筋疾患であり、1万人に1人の割合で見られます。

    筋強直性ジストロフィーは、遺伝する病気ですか?

    常染色体優性遺伝という遺伝形式を示します。この病気の患者さんの子どもは、性別にかかわらず50%の確率でこの病気を発症することになります。

    筋強直性ジストロフィーの発症年齢での分類について教えて下さい。

    発症年齢に従って、成人型、幼年型、先天型に分類されます。先天型は生まれたときから筋力低下が非常に目立ち、呼吸不全のために早く亡くなることがあります。発症年齢と原因遺伝子内でのリピート数には関連があると言われています。

    筋強直性ジストロフィーは、どんな症状で発症するのですか?

    症状の中核は、「筋強直」と「筋ジストロフィー」です。「筋強直」は、筋肉のこわばりで、手をぎゅっと握ったらぱっと開けない、親指の付け根の筋肉を叩くと筋肉が収縮して指が動くなどの症状が見られます。繰りかえし同じ運動をしている内に症状は良くなります。「筋ジストロフィー」は他の病気と同様、筋力低下や筋肉のやせがみられます。

    筋強直性ジストロフィーの、その他の症状について教えて下さい。

    筋強直ジストロフィーは、単なる筋肉の病気ではなく、全身の様々な臓器に障害が出る病気です。これは非常に重要なので強調しておきます。代表的なものとして、眼では白内障、心臓では房室ブロックや心室性頻拍などの不整脈がみられます。

    筋強直性ジストロフィーが重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    筋肉が障害されることで呼吸の際に働く筋肉や飲み込みの際に働く筋肉が弱くなり、誤嚥性肺炎や呼吸不全を起こしやすくなります。また、気をつけるべきは心臓の症状です。上で書いたような不整脈は突然死の原因になることがあります。この病気の方では、心機能や不整脈の有無をチェックすることが非常に重要です。

    筋強直性ジストロフィーは、どのように診断するのですか?

    診察をして、筋肉の症状があるか確かめます。血液検査ではCKが高いことが参考になりますが、正常のこともあります。針筋電図(筋肉に針を刺した時の筋肉の収縮を見る検査)では、針を刺した時にスピーカーから「急降下爆撃音」と形容される特徴的な音が聞こえます。これは筋強直症状(筋肉が固くこわばっている状態)を反映したものです。筋生検が行われることもありますが、最近では殆ど行われなくなりました。

    筋強直性ジストロフィーの確定診断のための検査について教えて下さい。

    遺伝子診断が診断確定のために必須です。検査会社でできる検査ですから、どの病院であっても検査会社に血液の検体を送れば検査ができます。必要なのは採血だけです。遺伝子に関わることなので、当然検査をする前に遺伝カウンセリングなど、遺伝子検査とはどのようなものかをご家族に分かっていただく必要があります。

    筋強直性ジストロフィーの合併症を調べるために必要な検査について教えて下さい。

    この病気で気をつけなければならないのは、心機能と呼吸機能です。いずれも機能が弱くなってくると死亡する原因になるものです。心機能については、心電図検査、心エコー検査、また1日中心電図をつけて不整脈がないかを確認するホルター心電図検査などが有用です。血液検査ではBNPという項目が心不全のマーカーとして参考になります。呼吸機能についても呼吸機能検査や動脈血液ガス検査などを行って調べます。

    筋強直性ジストロフィーと診断が紛らわしい病気はありますか?

    この病気は比較的診断がつけやすいものですが、症状が軽かったり非典型的であれば他の筋肉の病気と間違われてしまうことがあります。

    筋強直性ジストロフィーの治療法について教えて下さい。

    根本的な治療法はなく、基本的には困っている症状に対してそれを和らげていく治療を行います。呼吸を補助する装置を使ったり、不整脈は必要に応じてペースメーカーや植込み型除細動器が必要となることも珍しくありません。

    筋強直性ジストロフィーに関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    この病気では誤嚥に気をつける必要があります。食後すぐの臥位を避ける、口腔内を清潔にする、といったことは普段から心がけていただければ非常に良いです。

    筋強直性ジストロフィーの患者さんが手術をうけるときに気をつけるべきことを教えて下さい。

    全身麻酔を行うと、手術が終わっても麻酔の効果がなかなか切れず、手術中に使用した気管内チューブを抜くことが出来ないなど、対応に苦慮することがあります。全身麻酔が必要な際には呼吸機能など含め事前に調べておき、ある程度慣れた施設で行うことが望ましいでしょう。