ちゅうぶかんしょうこうぐん
肘部管症候群
肘の内側にある肘部管と呼ばれる部分で、指先に繋がる神経が圧迫された状態です。で小指と薬指にしびれが起こる
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最終更新: 2022.03.22
肘部管症候群の基礎知識
POINT 肘部管症候群とは
肘の内側にある肘部管と呼ばれる部分で指先につながる神経が圧迫されることで小指と薬指がしびれることです。尺骨神経の圧迫が症状の原因になり、長時間肘を曲げ続けることや肘の内側に腫瘍ができることなどその原因はさまざまです。主な症状は小指と薬指のしびれで、進行すると小指側の手の筋肉がやせ細っていきます。診断は診察によって行われることが多いですが、神経伝導検査やCT検査、MRI検査が行われます。基本的には安静にして自然に治ることを期待しますが、しびれが強い場合などは手術を行います。肘部管症候群が心配な人は整形外科を受診してください。
肘部管症候群について
- 肘の内側にある肘部管と呼ばれる神経の通り道で、神経が圧迫されたり、過度に引き伸ばされたりすることで、小指と薬指のしびれが起こる病気
尺骨神経 (小指と薬指の感覚と指を動かすために働く神経)が症状のもとになる
- 主な原因
- 長時間、肘を曲げ続ける
- 肘の内側に腫瘤(しこり)ができる
- 骨折が原因の肘の変形
- 野球や柔道などのスポーツによる肘の酷使
肘部管症候群の症状
- 主な症状
- 小指と薬指のしびれ
- 進行すると小指側の手の筋肉が痩せ細ってくる
- さらに進行すると、手の見た目が左右で変わってくる
- 肘の内側(神経が走っている箇所)を指で叩くと、肘から指先に向かって強いしびれが走る
肘部管症候群の検査・診断
- 診察
- 肘の内側を叩いて、しびれが出るかどうかを調べる
- 小指と薬指のしびれがあるかどうかを調べる
- 小指と薬指が正常に動くかどうかを調べる
- 親指と人差し指の間に紙を挟み、紙を引っ張った際に、親指が曲がらないか確認する検査(
フローマンテスト )
- その他の検査
神経伝導検査 :神経を2箇所から電気刺激をして、刺激の伝わる速度を調べる検査- 画像検査:骨折がないか、神経を圧迫するものがないかなどを調べる
CT 検査MRI 検査
肘部管症候群の治療法
- 主な治療
- しびれが軽度の場合
保存療法 :安静にして経過を診るNSAIDs :痛み止めの薬ビタミン B12剤:神経の回復を促す
- しびれが強い、または神経が強く引っ張られている場合
- 手術:筋層下前方移行術、皮下前方移行術(神経を圧迫されている部位から前の方に移動させる手術)
- 固定:3-4週間固定する
- リハビリテーション:関節が固まらないようにする、弱った筋力を回復させる
- 神経を圧迫している場合
- 手術:上腕骨内側上顆切除術(肘の内側の骨を切る手術)
- 固定:1週間程度固定する
- リハビリテーション:関節が固まらないようにする、弱った筋力を回復させる
- しびれが軽度の場合
- 長期的な経過
- 早期に治療を開始することで後遺症は残らずに済むことが比較的多い
- 手術後、早い時期からリハビリテーションを行うことで指の働きが改善しやすい
- 症状が悪化する前に病院に行き、診察を受けることが重要