ちゅうぶかんしょうこうぐん
肘部管症候群
肘の内側にある肘部管と呼ばれる部分で、指先に繋がる神経が圧迫されたりすることで小指と薬指にしびれが起こる状態。
8人の医師がチェック 72回の改訂 最終更新: 2017.06.15

Beta 肘部管症候群のQ&A

    肘部管症候群の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    肘部管症候群は、尺骨神経(小指と薬指を動かしたり感覚を得るために働く神経)が圧迫されたり、引き延ばしされることによって起こります。神経の圧迫や引き延ばしの原因は、神経を取り巻く靭帯の肥厚(厚くなること)、ガングリオン(腫瘤)、骨が隆起することなどが挙げられます。

    肘部管症候群にかかりやすくなる原因は何ですか?

    柔道や野球などのスポーツや、大工などの職人が肘を頻繁に用いることが原因となり、発症することもあります。その他の原因として、幼い頃の肘の骨折や加齢によって、骨が変形することでも発症することが挙げられます。

    肘部管症候群の症状について教えて下さい。

    小指や薬指、てのひらの小指側の部分の痺れによって生じます。麻痺が進行すると、手の筋肉が落ち、小指や薬指を伸ばすことが難しくなり、小指と薬指の付け根が伸び、第一・第二関節が曲がる鷲手変形と呼ばれる変形が生じます。さらに進行すると、てのひらの筋肉が落ち、手の見た目が左右で変わるほど腕が細くなることもあります。

    肘部管症候群が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    手の筋力が低下すると、指を開いたり閉じたりすることや、指を伸ばしたままあわせることが難しくなります。そのため、顔を洗う際に水がうまく掬えなくなったり、食事の際、箸がうまく使えなくなったりするなど、生活に影響を及ぼす可能性もあります。

    肘部管症候群は、どのように診断するのですか?

    小指と薬指の痺れ、てのひらの小指側の運動麻痺、肘の内側をたたいたときに、痺れが出るかどうかなどを調べます。 また、肘を最大限まげ、そのまま5分間保った後にてのひらの小指部分に痛みや痺れが生じるかどうかを確認する肘屈曲テスト、親指と人差し指で紙をはさみ、紙を引っ張ったときに親指が曲がらないかどうかを調べるフローマンテストなどが行われます。

    肘部管症候群の、その他の検査について教えて下さい。

     肘に変形がある場合には、骨折がないか、神経を圧迫するものがないかを調べる画像診断が行われます。画像診断には、CTやMRI検査が行われます。神経の電気の通り具合を調べるために、筋肉に針をさして微量の電流を流す、知覚神経伝達速度検査が行われることもあります。
     この他にも、首の病気によって神経が圧迫されていないか、糖尿病による神経障害の過可能性がないかなども調べることがあります。

    肘部管症候群の治療薬について教えて下さい。

     痺れが軽度の場合、安静にして経過をみる保存療法が行われます。肘関節を軽く曲げた状態でギプス固定したり、肘関節を固定する装具が用いられることもあります。また、痛みを軽減させるために、鎮痛消炎薬(NSAIDs)や神経の回復を促進するビタミンB12剤が用いられます。
     てのひらの筋力が低下している場合や画像診断によって、神経を圧迫している原因が明らかなときには、手術が行われます。手術には、神経を締め付ける原因となるfibrous bandと呼ばれる組織を切る単純神経剥離術、肘の関節が変形している場合は内側上顆切除術、圧迫している神経をそこから回避させる皮下または筋層下前方移行術などが行われます。

    肘部管症候群ではどのようなリハビリテーションが行われますか?

    手術の後には、肘を軽く曲げた状態で固定し、1週間程度の安静期間が必要になります。その後は、関節が動きやすくするためのリハビリテーションが行われます。手術に至る場合、腕の小指側の筋肉が低下している場合が多いため、肘周囲の筋力トレーニングや、肘に負担がかからないようにするための運動指導などが行われます。手術後早期からリハビリテーションを行うことで、手の動きが改善しやすいことが知られているため、積極的にリハビリテーションを行うことをお勧めします。

    肘部管症候群の手術にはどのくらいの費用がかかりますか?

     手術を全身麻酔で行う場合には、入院が必要です。入院期間は通常2-3日で長い入院は必要ではありません。
     手術にかかる費用は、外来で行うのであれば4-5万円程度、入院をする場合は、麻酔と手術で6万円、さらに入院料(約1万円×日数分)といわれています。

    肘部管症候群に関して、気をつけるべき点について教えて下さい。

    肘部管症候群かもしれないと思ったら、出来るだけ早めに専門の医療機関で受診することをお勧めします。神経の麻痺により筋肉が落ちてしまう前に手術を受けると、症状が比較的治りやすいです。一方で、痺れが始まってから1年以上経過した場合は、回復が不十分であることが多いことが知られています。

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