IgA血管炎の検査について:身体診察、血液検査、尿検査など
IgA血管炎が疑われる人には
1. 問診
問診とはお医者さんからの質問に答える形で、患者さんが困っている症状や身体の状態、生活背景を伝えることをいいます。問診では以下のポイントをよく聞かれます。
- どんな症状があるか
- 持病があるか
- 飲んでいる薬は何かあるか
- 家族で何か病気をもっている人はいるか
アレルギー があるか
問診を通してIgA血管炎を疑う症状があるかを確認していきます。また、アレルギーがある人には治療薬の選択肢が限られることもあります。そのため、これらの質問は治療法を決めるうえでも大事なものです。
身体の変化には自分自身や保護者が一番気付きやすいので、可能な範囲で構わないので問診時に説明するようにしてください。お医者さんが診察しただけでは見つけられない病気のサインが問診からわかることがあります。
2. 身体診察
身体診察は身体の状況を客観的に評価することをいいます。IgA血管炎では特徴的なポツポツした紫の
3. 血液検査
血液検査は他の病気との見極めや、内臓の障害を見つけるために行われます。
IgA血管炎は紫の発疹(紫斑)があらわれることが特徴の一つです。しかし、似たような発疹は他の血管炎でも起こりますし、
また、血液検査はIgA血管炎で生じる内臓の障害を見つけるのにも役立ちます。例えば、IgA血管炎により障害を受ける臓器に腎臓があります。腎臓に問題があっても症状が出にくいので診察から見つけるのは困難ですが、BUN(ビーユーエヌ)やクレアチニンなどの血液検査項目で腎臓の状態を調べることができます。
4. 尿検査
IgA血管炎では腎臓が障害されることで、尿に血液やタンパク質が混ざることがあります。腎臓が大きなダメージを受けて、混ざる血液やタンパク質の量が多くなれば、尿の色や泡立ちなどの見た目の変化から気づくことができます。しかし、ダメージが少なければ見た目でわかる変化は現れません。尿検査では見た目の異常がない微量な血液やタンパク質も見つけることができます。
腎臓は一度障害されると回復が難しい臓器の一つです。そのため、尿検査でできるだけ早い段階で腎臓の障害を発見し、
5. 腹部超音波検査
6. 皮膚生検
皮膚
検査のおおまかな手順は以下の通りです。
- 生検をする場所の消毒を行います。(生検をする場所の毛が多い場合には、事前に毛を剃ることもあります)
- 生検部位の麻酔を行います。
- 麻酔が効いているのを確認した後、メスなどで皮膚の一部を切り取ります。
- 皮膚を切り取った後は、ガーゼで圧迫して出血を止めます。出血が止まっているのが確認されたら、切り開いた場所を糸で縫います。その後ガーゼで保護します。
- 7-14日程度たったところで傷を縫っていた糸を切り取ります。
IgA血管炎の皮膚の組織ではIgAが血管に沈着しているのが確認されます。出血や傷口からの
7. 腎生検
腎生検は腎臓で何が起こっているかを顕微鏡で確認するため、腎臓の一部を切り取る検査です。尿検査で異常があったIgA血管炎の人に検討されます。生検後の出血に注意が必要であるため、5日から7日程度の入院で行います。
検査のおおまかな手順は以下の通りです。
- うつ伏せになります。(腎臓の組織は背中側から針を刺して採取します)
- 超音波で腎臓の形を確認します。
- 針を刺す場所の消毒を行います。
- 針を刺す部位の麻酔を行います。
- 麻酔が効いているのを確認した後、超音波で腎臓と針との位置関係を確認しながら針を進めていき、腎臓の一部を針で取り出します。
- 針を抜いた後は腎臓からの出血を止めるため、検査当日は針を刺した部位を重しで圧迫します。また、検査当日はベッド上で安静になります。
- 翌朝、腎臓からの出血が止まっているかを超音波を用いて確認します。出血が止まっていれば、安静が解除されます。腎生検後、数日間は再出血のリスクがあるため、激しい運動を控える必要があります。
IgA血管炎の腎臓の組織へのIgAの沈着が確認されます。出血や傷口からの感染症に注意しながら検査を行います。