あすぴりんぜんそく
アスピリン喘息
アスピリンなどの解熱鎮痛薬によって引き起こされる喘息のこと
11人の医師がチェック 187回の改訂 最終更新: 2017.10.03

Beta アスピリン喘息のQ&A

    アスピリン喘息の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    アスピリン喘息は気管支喘息の1つです。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)という種類の薬の影響で、喘息発作をおこすものの総称になります。 NSAIDsとはステロイド以外の解熱鎮痛薬ほぼすべてを指します。代表的なものとしてアスピリン(商品名:バファリン、バイアスピリンなど)がありますが、その他のロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)、ジクロフェナク(商品名:ボルタレン)、アセトアミノフェン(商品名:アンヒバ、カロナール)なども含みます。 いまなお、なぜNSAIDs全般に対する過敏性が出現するかは不明で、遺伝性も認められていません。NSAIDsは体内のブロスタグランジンという炎症物質を合成する、シクロオキシゲナーゼ(Cox)を阻害することで作用を発揮します。Cox(シクロオキシゲナーゼ)にはCox-1とCox-2が存在しますが、アスピリン喘息ではCox-1が阻害されると、別の経路で出現するロイコトリエンという炎症物質が体内に増加しアレルギー反応を起こすと考えられています。 一般的な薬のアレルギーであれば、構造の異なる薬剤を使えば問題ありませんが、アスピリン喘息はNSAIDsの作用自体に問題があり、他の薬剤でも起こりえるため注意が必要です。

    アスピリン喘息は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    成人喘息の約10%程度と報告されていますが、本症は重症喘息で成人以降に発症し、小児ではまれといわれています。重症成人喘息患者の30%以上にアスピリン喘息が存在し、鼻茸や副鼻腔炎を持つ喘息患者では50%以上と言われています。

    アスピリン喘息が発症しやすくなる、またはアスピリン喘息の人が他に注意すべき病気はありますか?

    現時点では、なぜ非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に対するアレルギーが獲得されるか分かっておらず予防は困難です。診断された場合は、NSAIDsの使用を避けることが第一です。NSAIDsの中でも前述のCox-1阻害作用が強いものほど誘発しやすく、症状も重くなることが分かっています。そのため、やむを得ない場合はCox-2選択的阻害薬(セレコキシブ 商品名:セレコックス)を使用することが望ましいと考えられます。 また半数以上の方に鼻茸や副鼻腔炎(蓄膿症)が合併しており、これらを治療されている方は注意が必要です。

    アスピリン喘息は、どんな症状で発症するのですか?

    原因となるNSAIDs服用から、1時間以内に、鼻づまり、強い喘息発作や咳嗽が出現します。症状が強い例では、頚部から顔面の紅潮、下痢や嘔吐などの消化器症状を認めますが、皮疹は少ないと言われています。過敏症状は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果が発揮される時間に持続し、重症例では24時間以上持続します。 発作がない時の症状としては、副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻茸の存在により嗅覚低下が90%以上の方に存在すると言われています。

    アスピリン喘息が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    アスピリン喘息は一度発作が起きると普通の気管支喘息発作より重症になるケースが多く、稀ではありますが、最悪の場合は死に至ることがあります。重症の気管支喘息と同様で、高度気道狭窄による窒息や、アナフィラキシーショックとよばれる血圧低下などが起こりえるため、迅速な治療が求められます。

    アスピリン喘息は、どのように診断するのですか?

    非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)使用後、1時間程度で鼻炎症状や咳などが現れ、中等症以上(横になれないくらい苦しい状態)の喘息発作がおこる場合に疑います。特徴的な検査項目としては尿中ロイコトリエンE4の著増が挙げられます。他のNSAIDsでも同様の発作が起きれば、さらに確定診断に近づきますが、症状が重篤になり、危険性が高いため内服は控えていただきます。

    アスピリン喘息と診断が紛らわしい病気はありますか?

    アスピリン喘息と、単純な薬剤アレルギーによる喘息発作を明確に区別するのが困難な場合があります。厳密には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)全般のCox-2阻害作用自体に問題があるのがアスピリン喘息であり、すべてのNSAIDsで同様の症状が出現します。しかし、ある特定のNSAIDsに対するアレルギーで起きた喘息発作であれば、その薬の構造に対するアレルギーであり、異なる種類のNSAIDsであれば発作は誘発されません。また、NSAIDs内服中にたまたま喘息発作が起きた場合にも診断が困難になります。いずれにせよ重症になりやすいアスピリン喘息の可能性が否定できない場合は、アスピリン喘息の可能性があると判断し、NSAIDsの使用を控えていただきます。

    アスピリン喘息の治療法について教えて下さい。

    一般的な重症喘息発作と同様ですが、急激に悪化することが多いのが特徴であり、より高度な治療が求められます。十分な酸素吸入と同時に、アドレナリンを早期に繰り返し(筋肉内注射)使用し、その後アミノフィリンとステロイドの点滴を行います。呼吸状態が悪化する場合には気道確保・人工呼吸器の使用を行う場合もあります。またロイコトリエン拮抗薬の内服が可能であれば、早期に行うことが勧められます。

    ※アスピリン喘息の場合、一部のステロイド(コハク酸エステル型ステロイド)にアレルギーが存在することが多く、リン酸エステル型のステロイド(商品名:デカドロン、リンデロン)を用います。

    アスピリン喘息の長期管理の治療法について教えて下さい。

    通常の気管支喘息と同様、吸入ステロイドが基本ですが、本症に有効性が高い抗ロイコトリエン薬(商品名:オノン、シングレアなど)の内服も行います。また鼻茸・副鼻腔炎の治療を行うことで喘息症状も安定するため、耳鼻咽喉科への通院や点鼻薬の使用が勧められます。診断がついた後のNSAIDs誤使用防止のために、患者カードを携帯していただき、再発を予防することが大切です。

    アスピリン喘息では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    発作は比較的重篤なことが多く、発作時には改善するまで入院していただきます。軽症であれば外来での治療も可能です。症状が安定している場合は1~2ヶ月ごとに通院していただきます。

    アスピリン喘息に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    NSAIDsは頭痛や腰痛、生理痛など日常的に用いることが多く、アスピリン喘息と診断されていない場合にはよく用いられます。また市販薬にも多く、総合感冒薬などにも少量含まれているため、一度診断された方は必ず安全なものを医療機関で処方してもらうようにしてください。


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