いんふるえんざ
インフルエンザ
インフルエンザウイルスに感染することで、高熱やのどの痛み、関節・筋肉の痛みなどが引き起こされる感染症。毎年冬場に流行する
39人の医師がチェック 336回の改訂 最終更新: 2024.11.05

インフルエンザの検査:問診、迅速検査キット

インフルエンザの検査キットは、鼻の中の粘液を採取してインフルエンザ感染の有無を判定するためのものです。多くのキットでは10−20分ほどで結果がわかります。しかし、信頼性があまり高くないので診断に必須ではありません。特に流行期には検査キットを使うことなく診断することもあります。

1. 問診:流行期は検査なしで診断することがある

問診とは、お医者さんが患者さんに、受診のきっかけとなった症状や身体の状況、これまでの病気、使っている薬などを聞くことです。

すでにインフルエンザが流行しており、また、急な発熱と咳などがあってインフルエンザが強く疑われる人には、検査キットを使わないで診断される場合があります。これには以下のような理由があります。

  • 検査キットの正確性が高くない
    • 検査キットはインフルエンザの3割以上を見逃してしまうと考えられています。症状や経過からインフルエンザが強く疑われる人に検査キットを使って陰性の結果が出ても、検査キットの見逃しも考えられるため、インフルエンザを否定しきれておらず、検査をする価値が高くありません
  • 検査の時間や費用がかかる
    • 検査を行うことで院内にいる時間が増えるため、待合室にいる患者さんの間で互いに病気をうつしあうリスクにもなります。当然検査の費用もかかります
  • 流行の程度と症状から推測できる
    • 診断に慣れている医師であれば、身体所見と症状の経過から検査キットよりも信頼度の高い診断ができる場合も多いです

2. 身体診察

インフルエンザでは、発熱や咽頭痛、倦怠感、頭痛、関節痛、悪寒など多くの症状が出現します。また、症状が強くなると息切れや意識朦朧などの症状が出てきます。

インフルエンザの診療ではこれらを見逃さないように身体診察が行われます。また、これらとともに脈の速さや呼吸の頻度、血中酸素飽和度なども測定されます。

最近では、後咽頭(喉の奥)に生じるリンパ濾胞と呼ばれる数ミリ程度のつぶつぶがインフルエンザに特徴的であるという意見も見られています。このリンパ濾胞は赤く変色したつぶつぶなので通称「いくらサイン」と呼ばれたりします。いくらのようなサインが見られたときにインフルエンザに゙罹患しているといった報告がありますが、他のウイルスでもこのサインが見られることも少なくないため、参考程度の判断材料と考えられています。

3. インフルエンザ迅速検査キット

検査キットの感度は60-70%前後です。つまり、本当はインフルエンザに感染しているのに見逃してしまう場合が30%以上の割合で発生します。

研究では次の数字が報告されています。

  • 本当はインフルエンザなのに陰性が出る割合:37.7%(感度62.3%)
  • 本当はインフルエンザではないのに陽性が出る割合:1.8%(特異度98.2%)

また、インフルエンザの発症初期ではさらに検査の感度が低下することが分かっています。そのため、発症から12時間(より確実には24時間)以上経過してから検査を行うのが一つの目安となっています。

「インフルエンザの検査キットで陰性だったので、また明日再検査」ということを考える人もいるかもしれませんが、ほとんどのケースでこれはお勧めできません。本当にインフルエンザでなかったならば、冬の混んでいる外来に2度も通って完全な無駄足ですし、むしろそこで初めてインフルエンザをもらってきてしまうかもしれません。仮に本当にインフルエンザだったとしても、インフルエンザの治療薬は発症してから48時間以内には使用しないと効果が薄いので、翌日に再検査をしてから抗インフルエンザ薬を使っても遅いということも多いです。さらに、発症後早期に使ったとしても抗インフルエンザ薬は決して特効薬ではなく、効果は限定的であることに注意が必要です。

現在の世間一般での認識、日本の医療の現状として、インフルエンザ検査キットと抗インフルエンザ薬を過信している傾向があるのは否めません。若くて健康な人であれば、検査キットや抗インフルエンザ薬目的でわざわざ受診する必要はなく、家でしっかり休養をとるという選択肢も十分に合理的な判断なのです。

参考文献:Ann Intern Med . 2012 Apr 3;156(7):500-11. doi: 10.7326/0003-4819-156-7-201204030-00403. Epub 2012 Feb 27.

インフルエンザの検査は痛いか

検査の際には、綿棒のような形をした棒を、片方の鼻の穴から挿入します。かなり細いものではありますが、鼻の穴の一番深い部分まで入れるので少し痛いです。一番奥の部分で5-10秒程度かけて拭い取ってから回収し、それを検査に出します。 鼻の浅いところの鼻水をとってくるだけでは、もともと高くはない検査精度がさらに下がるとされています。検体の採取後の処理が始まってしまえば、そこから結果が出るまでは10-20分程度です。

4. 胸部レントゲン検査

インフルエンザのほとんどは咽頭や気管支炎症を起こす一方で、肺炎肺胞の炎症)を起こすことは珍しいです。そのためインフルエンザ患者がレントゲン写真を撮っても、多くは正常の結果となります。しかし、息が苦しい人や血中酸素濃度が下がっているような人ではインフルエンザ肺炎の可能性が出てくるため、受診時にレントゲン撮影を提案されることがあります。インフルエンザ肺炎と診断された場合は、抗インフルエンザ薬が処方され、全身状態によっては入院を勧められることになります。