子どもの片頭痛の治療について:どんな薬を使うのか
子どもの頭痛では、片頭痛(偏頭痛)が多いとされています。症状をなるべく早く和らげてあげたいですし、予防もしてあげたいものです。そこで、このページでは主に子どもの片頭痛に対する頭痛
1. 子どもの片頭痛発作時(急性期)に使う薬
片頭痛は数時間程度痛みが続く発作を月に1回から数回の頻度で繰り返すのが特徴です。この発作が起こっているときには痛み止めの薬を使います。成人では片頭痛に対して
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)(エヌセイズ)
NSAIDsは体内の痛みや
子どもに対するNSAIDsの使用はある程度の制限があります。例えば大人の場合よく使われているNSAIDsの一つ、ロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン®など)の飲み薬は、子どもへの安全性が確立されていない薬剤です。特に15歳未満の小児への使用は注意が必要です。
子どもへ使用可能なNSAIDsで、片頭痛発作に使われる薬としてはイブプロフェン(商品名:ブルフェン®など)があります。イブプロフェンは有効性と安全性が高い薬とされ、適切な量を頭痛開始後できるだけ早く使用することが推奨されています。
アセトアミノフェン(商品名:カロナール®、コカール®など)
アセトアミノフェンはNSAIDsとは少し異なるけれども似たような仕組みで痛みや熱などを和らげる薬です。
イブプロフェンと同様、子どもの片頭痛に対して有効性と安全性が高い薬とされ、適切な量を頭痛開始後できるだけ早く使用することが推奨されています。
トリプタン製剤
トリプタン製剤にはいくつかの薬剤がありますが、その中でもスマトリプタンの
飲み薬ではリザトリプタンの錠剤(商品名:マクサルト®錠10mg、マクサルト®RPD錠10mg)が小児片頭痛に対して有効性を確認されています。
他のトリプタン製剤では、ゾルミトリプタンの点鼻薬での有効性が確認されていますが、日本では未発売(2016年4月現在)です。
トリプタン製剤は片頭痛発作が起きてすぐに使用することで最も高い効果が得られます。片頭痛が起きてしばらくした後に我慢できなくなってからでは薬剤の効果が十分に発揮されないので、使用するタイミングが肝心です。
この他、片頭痛発作時におこる吐き気に対してドンペリドン(商品名:ナウゼリン®など)を使うなど、頭痛以外の症状に対しても薬が使われます。
2. 子どもの片頭痛の予防薬
子どもが片頭痛の発作を週に何回も繰り返す場合、発作を予防する薬が使われます。
シプロヘプタジン(商品名:ペリアクチン®)
予防薬としては、例えばシプロヘプタジン(商品名:ペリアクチン®)があります。シプロヘプタジンは主に抗
抗アレルギー薬と頭痛というとあまり関連性がないように思うかもしれませんが、シプロヘプタジンには
シプロヘプタジンはセロトニンを抑える作用の他、湿疹や鼻炎などのアレルギー症状に関わっている
また頻度は非常に稀ですが、発熱時などにけいれんを誘発することもあります。以前にけいれんを起こしたことのある子どもにおいては特に注意が必要です。
抗てんかん薬
成人の片頭痛予防に脳の興奮を抑える抗てんかん薬が使われますが、子どもの片頭痛予防にも有効な薬がいくつかあります。中でもトピラマート(商品名:トピナ®)は頭痛の1ヶ月あたりの頻度を少なくする効果が確認され、頭痛による学校の欠席が減ったという事例も確認されています。現在(2016年4月時点)、トピラマートを片頭痛予防目的で使用するのは通常、
その他の薬剤
その他、アミトリプチリン(商品名:トリプタノール®など)やロメリジン(商品名:テラナス®、ミグシス®)などの薬も子どもの片頭痛予防に使う場合があります。また、漢方薬による治療も選択肢の一つとされています。特に頭痛の予防薬に対してアレルギー症状が出たり、過度な眠気などの副作用により使用が難しい場合には漢方薬が代わりの手段となることもあります。