ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の研究
アレルギー専門誌『Allergy』に報告された研究を紹介します。
この研究では、日本でダニ(チリダニ)によるアレルギー性鼻炎の患者を対象として、舌下免疫療法の効果を調べています。
舌下免疫療法とは?
アレルギーは、異物に対して免疫が過敏に反応することで起こります。花粉症もアレルギーの一種です。治療法のひとつとして、アレルギーを起こす物質(アレルゲン)を体に与え続けることで、免疫を慣らして過敏反応を抑える方法があります。舌の下に入れて溶かすタイプの薬を使う場合は特に「舌下免疫療法」とも呼ばれます。
ダニによるアレルギー性鼻炎に対しては、日本でも2015年にアシテア®ダニ舌下錠が発売され、舌下免疫療法が行われています。
日本で968人が研究に参加
この研究には、ダニによるアレルギー性鼻炎の患者968人が参加しました。
参加者はランダムに3グループに分けられました。
- 300単位(IR)の薬剤を使うグループ
- 500単位(IR)の薬剤を使うグループ
- 有効成分を含まない偽薬を使うグループ
300単位(IR)、500単位(IR)というのは薬剤の強さを表します。
52週間の治療が行われ、最後の8週間に症状の重さをスコアで評価して、治療効果を検討しました。
症状に改善あり
次の結果が得られました。
治療期間の最後の8週間におけるAASSは、偽薬群に比べて300IR群と500IR群でともに有意に改善した。
ほとんどの有害事象は軽度であり、16件の深刻な有害事象が報告されたが、薬剤関連のものはなかった。
300単位でも500単位でも、症状のスコアに改善が見られました。薬が原因で起こったと見られる深刻な副作用はありませんでした。
まとめ
アレルギー性鼻炎は多くの人を悩ませています。免疫をコントロールする方法が進歩することで、くしゃみや鼻水が楽になる人が増えるかもしれません。
執筆者
House dust mite sublingual tablet is effective and safe in patients with allergic rhinitis.
Allergy. 2016 Jul 29. [Epub ahead of print]
[PMID: 27471838]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。