◆4週間の訓練を音楽とメトロノームで比較
ここで紹介する研究は、多発性硬化症の患者で、明らかな症状があるが最重症ではない人(重症度を表すEDSSのスコアが1.5から4.5、正常が0で6が最も重い)を対象に行われました。
対象者は体の動きを思い浮かべることで実際の動きをよくする訓練(運動イメージ)を行うこととされ、訓練の方法が違う3グループにランダムに分けられました。
- 音楽を使って運動イメージ訓練をする
- メトロノームの音を使って運動イメージ訓練をする
- 音を使わないで運動イメージ訓練をする
訓練は1回17分で週に6回、4週間にわたって行われ、3グループ合計101人が訓練を完了しました。
◆音楽で疲労感が改善
次の結果が得られました。
対照群に比べて、どちらの治療も歩行速度、歩行距離、感覚を有意に改善した[...]身体的疲労感は音楽を使った治療群でだけ改善した。
音楽を使ったグループでも、メトロノームを使ったグループでも、歩ける速度や歩ける距離などが改善しました。音楽を使ったグループでだけ、身体的疲労感が改善しました。
音楽がリハビリのために果たすことのできる役割は、今後ますます明らかになっていくかもしれません。
執筆者
The effect of rhythmic-cued motor imagery on walking, fatigue and quality of life in people with multiple sclerosis: A randomised controlled trial.
Mult Scler. 2016 Apr 7. [Epub ahead of print]
[PMID: 27055804]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。