◆133,353人の女性の10年間にわたるデータから2型糖尿病と睡眠との関係性を分析
糖尿病は1型と2型に分けられます。2型糖尿病は生活習慣病であり糖尿病全体の9割程度を占めます。
ここで紹介する研究では、アメリカのハーバード大学などの研究班が、糖尿病、心血管系疾患、がんを持っていない133,353人の女性のデータを分析し、2型糖尿病の発症と睡眠困難との関係性を統計的に分析しました。
◆睡眠困難は2型糖尿病と関係性があった
以下のような結果が得られました。
ベースラインのライフスタイル因子の調整後、睡眠困難を有する女性と有さない女性とを比較すると、2型糖尿病に対する多変量調整されたハザード比は1.45 (95% 信頼区間 1.33, 1.58)だった。測定を繰り返して更新されたBMI、高血圧、うつによってさらなる調整を加えた後は1.22 (95% 信頼区間 1.12, 1.34)に変化した。4つの睡眠の問題(睡眠困難、頻繁ないびき、6時間以下の睡眠、睡眠時無呼吸)の全てを報告した女性(NHSの参加者またはNHS IIでローテーションシフトで勤務していた参加者)は2型糖尿病の可能性がさらに4倍に増加していた (ハザード比 4.17、 95%信頼区間 2.93, 5.91)。
睡眠困難を有する女性の方が2型糖尿病を多く発症していました。さらに、睡眠困難、頻繁ないびき、6時間以下の睡眠、睡眠時無呼吸のすべてを有する女性は発症の可能性が4倍になっていました。
2型糖尿病との関係が見られた要素の中に、睡眠時無呼吸も含まれています。睡眠時無呼吸を引き起こすような高度の肥満は、2型糖尿病の原因にもなりえます。睡眠困難は、体が2型糖尿病に近づきつつあるサインとも受け取れるのかもしれません。
2型糖尿病を防ぐためには、睡眠を見直すことも大事かもしれません。
執筆者
Association between sleeping difficulty and type 2 diabetes in women.
Diabetologia. 2016 Apr.
[PMID: 26818148]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。