2016.02.25 | ニュース

魚介類を週に1回以上食べるとアルツハイマー病になりにくい?

554人を対象に検証

from JAMA

魚介類を週に1回以上食べるとアルツハイマー病になりにくい?の写真

アルツハイマー病は記憶や思考力が徐々に低下していく病気です。日本国内での認知症の原因として最も多い病気です。発症前の状態に戻す治療法はなく、予防法に関心が持たれています。魚介類を食べる事とアルツハイマー病の関連が報告されました。

◆魚介類を食べることでアルツハイマー病は防げるのか?

今回の調査は、過去にアメリカで行われた研究の対象者で、死亡した554人の患者が対象とされました。患者の遺体から脳が解剖され、脳組織を顕微鏡によって観察し、アルツハイマー病と判断される要素が見られるか調べられました。対象者は、死亡する数年前から食事頻度調査によるアンケートに答えていました。これらのデータが集められ、アルツハイマー病との関連が調べられました。

 

◆週に1回以上魚介類を食べることが、アルツハイマー病になる要素が低い事と関連

次の結果が得られました。

年齢、性別、教育、総エネルギー摂取量を調整したモデルでは、魚介類の摂取(週に1回以上)はアポリポタンパクE(APOE ε4)を持った人たちのみで有意にアルツハイマー病の病理所見が少なくなることと関連した。老人斑の密度が低く(β=-0.69 スコアユニット [95% 信頼区間、 -1.34から-0.04]、神経原線維変化がより軽度かつ限局的(β=-0.77 スコアユニット [95% 信頼区間、 -1.52から-0.02])、そして、神経病理学的に定義されたアルツハイマー病が低かった(β=-0.53 スコアユニット [95% 信頼区間、 -0.96から-0.10])。

APOE ε4という関連遺伝子を持っている人では、魚介類を週に1回以上食べる人でアルツハイマー病の特徴が少なくなっていました

 

食生活はアルツハイマー病の予防となんらかの関係があるかもしれません。しかし、今回の調査は、脳組織を観察したときの特徴をもとに分析されたものであり、魚介類を食べた結果によりアルツハイマー病の症状が変わったかを調べたものではありません。そのため、魚介類がアルツハイマー病の予防になると断定するには限界があります。食生活全体のバランスを考え、魚介類を食事に取り込むことが健康に効果をもたらすのかもしれません。

執筆者

宮本 望都喜

参考文献

Association of Seafood Consumption, Brain Mercury Level, and APOE ε4 Status With Brain Neuropathology in Older Adults.

JAMA. 2016 Feb 2.

[PMID: 26836731]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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