◆127,555人の2型糖尿病患者を対象に評価
研究チームは、イタリアの32の公共医療サービスによるデータから、2型糖尿病患者127,555人のデータを抽出しました。
糖尿病治療薬として、DPP-4阻害薬、チアゾリジンジオン、SU薬、メトホルミンの使用と、心不全による入院との関連を観察しました。
◆DPP-4阻害薬は心不全の危険性を低減する
得られたデータに次のことが見つかりました。
平均2.6年間の調査で、計測された交絡因子による補正後、DPP-4阻害薬の使用は、SU薬と比較して心不全による入院のリスクの減少と関係していた(ハザード比:0.78、95%信頼区間:0.62-0.97、P=0.026)。傾向スコアでマッチングすると、その分析は39,465人に限定され、DPP-4阻害薬の使用はまだ心不全による入院の低リスクと関連していた(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.52-0.94、P=0.018)。
127,555人の2型糖尿病患者の平均2.6年間のデータから、「DPP-4阻害薬の服用は、SU薬の服用時よりも心不全による入院のリスクの減少と関連性がある」という結果が得られました。
この研究の方法では、必ずしもDPP-4阻害薬が直接心不全による入院を防いだとは断言できず、背景に別の要因があった可能性が否定できません。糖尿病の発症や進行に関わる要因には、心不全とも関係するものがあります。そういった要因が治療薬を選ぶ判断材料になったと仮定すれば、DPP-4阻害薬を使った人に、もともと心不全になりにくい状態の人が多かった可能性も考えられます。
執筆者
Risk of hospitalization for heart failure in patients with type 2 diabetes newly treated with DPP-4 inhibitors or other oral glucose-lowering medications: a retrospective registry study on 127,555 patients from the Nationwide OsMed Health-DB Database.
Eur Heart J. 2015 Jun 25 [Epub ahead of print]
[PMID: 26112890]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。