パーキンソン病患者がアレクサンダー・テクニックを学習すると動作が改善した

パーキンソン病の症状に、スムーズな動きができなくなることがあり、薬物治療に加えてさまざまな運動訓練が考案されています。アメリカの研究班が、俳優の訓練などに取り込まれている「アレクサンダー・テクニック」を試しました。これは体に無駄な力を入れないようにするなどの訓練によってうまく動けることを目指す方法で、この訓練を受けたパーキンソン病患者は姿勢が安定し、動作がなめらかになったという結果が出ました。
◆2種類の教え方でアレクサンダー・テクニックを指導
研究班は、20人のパーキンソン病患者を対象にアレクサンダー・テクニックの指導を行いました。それぞれの対象者が「Lighten Up法」「Pull Up法」という2種類の教え方を両方受けるようにして、姿勢や運動に効果が現れるかどうかを調べました。
◆Lighten Up法に独特の効果
次の結果が得られました。
どちらの指導法に対しても、対照に比べて垂直姿勢が増えた。Lighten Up法だけが、姿勢動揺を減らし、軸方向の姿勢緊張を減らし、筋緊張をより調節しやすくし、ステップ開始時の圧中心軌跡をよりなめらかにし、それによって動作に対する有効性がより大きいことを示す可能性があると見られた。
どちらの教え方でも、アレクサンダー・テクニックの指導のあとでは姿勢を垂直に保てるようになる傾向があり、またLighten Up法で指導されたときに、姿勢が安定し、歩き始める動作がなめらかになるなどの変化が見られました。
研究班は「アレクサンダーテクニックのように動作に注意深くするアプローチは、パーキンソン病のある対象者にとって、筋固縮を減らすとともに、垂直な姿勢を多くすることを劇的に簡単にすることで、バランスとモビリティに有益かもしれない」と結論しています。
薬物治療以外にも、パーキンソン病の治療法はさまざまなものが試されています。症状や生活スタイルに合ったものを選ぶのがよいのかもしれません。
以前に紹介したほかの方法も、興味のある方はあわせてご覧ください。
「パーキンソン病患者がもっと歩けるようになる、チャレンジングなトレーニングに効果あり」
http://medley.life/news/item/557feedabaab73f90084b85a
「パーキンソン病患者のバランストレーニングに太極拳が有効」
http://medley.life/news/item/55714fa391e599f60076821c
執筆者
Lighten Up: Specific Postural Instructions Affect Axial Rigidity and Step Initiation in Patients With Parkinson's Disease.
Neurorehabil Neural Repair. 2015 Feb 9 [Epub ahead of print]
[PMID: 25665828]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。